拝み屋の末路
やっとやっと、素材が落とせたので、
無事に動画がアップできました。
新作「拝み屋の末路」です。
命がけで除霊を行ってきた者たちの
報われない最後を動画化しています。
ぜひ、見てみてくださいね。
以下は、動画編集に使った原稿です。
「予告編用文章」
老いた拝み屋は
祓ってきた悪霊に
復讐されるため
平穏な老後を望めない
死後、孫が伝えた拝み屋の最後は
非常に悲惨なものだった
「本編」
(レコードノイズ)
拝み屋とは、古来より除霊を生業として活動する人々のことである
陰陽師、などに近い存在といえる
あまり知られていないことだが、彼らのような存在は、そのほとんどが、平穏な老後にありつけるというわけでは、ない
何故ならば、死期が近づき、能力が衰え始めた彼らは、これまで祓ってきた悪霊に復讐されることが少なくないからだ
東北の山村に住んでいた、老いた拝み屋は、自分の周囲に、日に日に物の怪の気配が近づいてくるのを察知し、自分の最期を把握していたという話が残っている
この話は、老いた拝み屋の孫が伝聞させたものである
その末路は、非常に悲惨なものだった
(場面転換)
(この、あるとき、で始まるのはわざと半端にやっている)
あるとき、拝み屋の孫が学校から帰る道すがら、田んぼの中で四つん這いで駆け回る奇妙な人影を見つけた
よく見ると、彼の祖父、老いた拝み屋であった
彼の祖父は、何かに取り憑かれたようにカエルを追い廻し、捕まえては食べ、また捕まえては、カエルを口の中に放りんでいたという
孫はそんな祖父の姿にショックを受けて、逃げ帰ってしまった
これ以降、祖父が正気にかえることはなく、そのまま他界してしまう
葬儀のあとに、この孫は祖父が遺していた日記を見つけた
その中には、まだ若い頃の祖父が、自分の師匠の死に際に直面したときのことが、詳細に書かれていたという
その内容は、まさに祖父の最期と瓜二つの状況であった、ということだ
(カエルの声)
(ヒグラシ)
(場面転換)
尊敬し、頼りにしていた師匠の末路、そして自分もいつかそうなる恐怖。
さらに、それが現実を帯びてきたときの心境は、
いったいどれほどのものだったのだろうか
ちなみに、このように除霊を生業とする人々の中には、死後に悪霊や鬼になってしまう者もいると言われている
祓うものが、祓われるものになり果てていく、ということだろうか
若い拝み屋に、自分が祓われることを察したとき、ひとは、どのような心境に、なるのだろうか
(チーン)