怖い話コピペ

能力者の末路

俺が子供の頃の話なんだけど。 

俺は山の中の小さな村に住んでて、家から少し離れた所に爺ちゃんが住んでた。 
その爺ちゃんは、今で言うお払いみたいなことをしていて、
狐憑きや村で切れない木があるとの爺ちゃんに頼っていた。 

俺はそんな爺ちゃんに憧れ、よく家に遊びにいってた。 
そんなある日、いつものように爺ちゃんの家に行き、縁側で喋ってた。 

「俺も大きくなったら爺ちゃんみたいになりたい」 
目に見えない者を倒す爺ちゃんは、ヒーローそのものだった。 
だけど爺ちゃんは 
「やめとけ、こんな事をしても何の得にもなりゃせん・・・お師さんもそうじゃった。」 
広い庭を見渡し 
「もうここまで来よった・・・わしもそろそろか・・・」 
と呟いていた。 

それから数ヶ月した頃、学校の帰り道で爺ちゃんに会った。 
爺ちゃんは田んぼの中を四つ足でグルグル歩き回り、蛙を捕まえ食べていた。 
爺ちゃんの目はギョロギョロしていて、舌はだらしなく垂れ下がり口の周りは泥だらけだった。 
あまりの光景に俺は怖くて動けずに、ただ見ていた。 
そして爺ちゃんが俺に気づくと低い唸り声をあげた。 

俺は走って逃げ、親に爺ちゃんのことを告げた。 

222:本当にあった怖い名無し:2009/06/06(土) 20:25:12 id:kO899dyA0
それから数日して爺ちゃんは死んだ。 

葬式の時、大人は爺ちゃんの顔を見ることを許してくれなかった。 

それから少したって爺ちゃんの家で、日記を見つけた。 
それは爺ちゃんのお師さんが、死んだ時のことが書かれていた。 

お師さんの身体が弱くなるにつれ、力も弱なっとる。祓ってもきりがない。 
どこからともなく物の怪が現れ、お師さんに入り込む。 
苦しんで絶命した時は、恐ろしい形相だった。 

こういう事に関わってくると奴らから怨まれるのは当然・・・ 
力を無くした時に、復讐にくる。 
わしも同じ目に合うのだろうか。 

俺は爺ちゃんが縁側で話したことを理解した。 

向こうから見れば、爺ちゃんは敵で、
祓い逃した奴や人間に悪さをする奴は、いつまでも復讐の時を待っている。 
そしてお払いをする人間の最期は静かに死ねないという事を・・・ 

225:本当にあった怖い名無し:2009/06/06(土) 20:39:39 ID:0aLPDgs80
>>222 
うわ、こう言う話好きだなぁ。 
能力者の末路って、今まで考えたこともなかったけど… 
本人が弱った時に復讐されるってのは、確かにあるかも知れない

227:本当にあった怖い名無し:2009/06/06(土) 21:14:10 id:Ul2AtB150
能力者の末路といえば、 
陰陽師は穢れを一身に引き受けた代償として 
最期は鬼になるみたいなことをどっかで聞いた気がする 

信じられないが、本当だ

http://www.shikoku-np.co.jp/news/news.asp?id=20040727000204
岐阜県郡上市大和町の ★東海北陸自動車道★ の平山トンネル(1413メートル)の
北側出入り口付近で、 (中略)県警高速隊の調べでは死亡したのは、岐阜県
白川村荻町、会社員、山本衛さん(48)、 ★▽妻美加枝さん(39)▽長女麻理さん(16)★

そして、偶然(教えてくれた人が)見つけた、約2年前のこの記事。
http://www.hokuriku.chunichi.co.jp/toyamaoffice/hietsu/index1-4.shtml
「とても不安でした。病院に間に合わないんじゃないかと…」。
★岐阜県白川村の主婦山本美加枝さん(37)★が振り返る。
★十五年前★、真冬二月の深夜に産気づき、夫の車で同県高山市内の病院まで
約二時間かけて走った。
「道がしみてて(凍っていて)滑って危なかった」。山本さんは病院に着いてすぐに
分べん室に入り、★無事女児★を出産した。
「あのとき ★東海北陸自動車道★ があれば、病院も近くなり、道も安心で、あんなに
焦らないで済んだのに…」。

332:本当にあった怖い名無し:2009/06/15(月) 04:52:42 id:D68LnZOG0
ハサミ女
人から聞いた話だから真偽は知らんけど投下。

近所に「ハサミ女」と呼ばれる、頭のおかしい女がいた。
30歳前後、髪は長くボサボサで、
いつも何かを呟きながら笑ってる、この手の人間のテンプレート。

呼び名の通り、常に裁ちバサミを持っていて、シャキシャキと虚空を切っている。
刃物携帯だし、よく警官に注意され、連れて行かれるところを皆が見ているが、
本人が温厚(?)な為か、女の自宅付近にしか出没しない為か、
そこまでの危険視はされてなかったらしい。
友人が小学校を出る頃には、引っ越したのか死んだのか、いつのまにか姿を見なくなっていた。

で、友人が中学生時代のある日、数人と肝試しをしようという話になった。
場所は、今は無人となっているハサミ女の家。
山の入口に近く、人気のない場所にポツンと立っている、トタン張の平屋だ。

333:本当にあった怖い名無し:2009/06/15(月) 04:54:01 id:D68LnZOG0
盛り上がって向かったはいいが、
暗くて不気味、雰囲気満点の家の様子に、みなすっかり怖気づいていた。
だが友人は同行してた女子にいいところを見せたかったらしく、一人、室内に入っていった。
(逆に空気読めてないよな、と後の友人は言ってた。俺もそう思うw)

さて、室内は、ゴミやら毛糸玉やらが散乱して、足の踏み場もない状態。
だけどまあ、特に何が出るといういわくがあるわけでもない。
3部屋ぐらいしかない室内をぐるっと歩き、
見回った証拠に持って帰れるモノはないか、と物色していた。
んでクローゼットを開いたら、グラリと大きなモノが倒れ掛かってきた。

パニックになりながらも友人が見たソレは、巨大なぬいぐるみ。

ただし、様々なぬいぐるみの頭部だけを乱暴に縫い合わせて
人の形にした、百目みたいなシロモノ。
犬、猫、テディベアといったものからグリコのおまけみたいな
小さい人形まで、無数の頭がくっついていたという。

友人は半泣きで逃げ出し、肝試しは大失敗に終わった。
しかも後日、誰かが先生に告げ口したらしく、こっぴどいお叱りまで受ける羽目に。

334:本当にあった怖い名無し:2009/06/15(月) 04:55:00 id:D68LnZOG0
さらに、嫌な後日談がひとつついた。
肝試し事件もあってか、近隣の人だか警察だかが、ハサミ女の家を調べにいったらしい。
そこで、ハサミ女の遺体が見つかった。

場所は、友人に倒れ掛かってきたぬいぐるみの、中。

死因は定かではないが、
ハサミ女は、自分で自分の身体にぬいぐるみの頭部を縫いつけていったらしい。
友人は気づかなかったが、リアル動物の、ひからびた首も縫われていたそうだ。

真偽はどうでもいいのだけど、そんな話を食事しながらしないで欲しい。
話中の友人の空気が読めてないところにだけは、リアルだなー、と思った。



怪談
高校の時、長崎へ修学旅行に行った時の話
宿泊した宿がボロで古かった。
原爆落とされた場所という理由で夜、
部屋のグループ数人で怪談話を始始めた(怖いから電気つけたままWWW)

俺はグロサイト等で集めた画像を駆使し中々怖がらす事が出来た。
怪談の途中友人一人が凄い叫び声をあげ壁を指さした。
壁には体を固定され?首を一心不乱上下左右に振り回す、
真っ黒な人の形のような物体があった。

皆部屋から逃げた。
先生に言い、先生の部屋で寝かせてもらったが眠れるはずがなかった。
今でも一心不乱に首を振り回す霊を忘れられない。
体を固定されいつまでも苦しんでる状態で念として残ってると思うと切ない。



怪しい別荘
2年前の話を
この話は一応口止めされている内容のため、具体的な場所などは書けません。
具体的な部分は殆ど省くかボカしているので、それでもいいという方だけお読みください。


高校3年の夏休みの事。
俺と友人5人は、受験勉強でかなり疲れが溜まっていた事や、
高校最後の夏休みということもあって、どこかへ旅行に行こうと計画を立てた。
ただしもう夏休みに突入していたため、観光地はどこもキャンセル待ちの様な状態で、
宿泊地を探すのにかなり苦労した。そしてやっとの事で近畿地方の高原?のような
観光地のペンションにまだ空きがあるという情報をネットでみつけ、
まあ騒いでも苦情が無いならどこでもいいかと即決でそこに決めた。

旅行当日、早朝に出発し昼前に現地に到着したのだが、
そこで少し問題が起きてしまった。
どうやら旅行代理店とペンションの管理組合?との間で伝達ミスがあったらしく。
俺達は今日から2泊3日で予約していたにも関わらず、ペンションの方には宿泊予定が
今日から3日後と伝わっていて、今は満室で1つも空いていないと言い出した。

俺達はここまで来てそれはないだろうと文句をいうと、最初はふもとの町にある
ホテルなどを紹介されたが、俺達はただ観光に来たわけでは無く夜中に騒いでも
苦情が来ないような場所が条件だったため、かなり食い下がった。

するとペンションの人が
「じゃあちょっと待っていて欲しい」と携帯でどこかへ電話をし始めた。
電話の内容は良く解らなかったが、なんとなくかなりモメていたようで、そのまま
15分ほど電話していたが、どうやら話がまとまったようで、「近場に貸し別荘があるので、
そこでどうだろうか?料金はこちらの不手際なのでペンションの代金の3割引で良い」
と言って来た。



174:2:2009/06/06(土) 11:33:43 id:Psvxll6A0
俺たちはまあそれならと納得したが、そこから少し雲行きが怪しくなった。
どうもその貸し別荘は長い事使われていなかったらしく、
準備や掃除に少し時間がかかるらしい。
その間俺達には交通費と水族館の割引券を渡すので、
そこで時間を潰して夕方にまた来て欲しいとの事だった。

その水族館はペンションのある場所からかなり離れていた、
というか県外の某大都市にある水族館で、
俺達が見終わってもどってくる頃には午後6時近くになっていた。
俺達は「こんなに準備に時間かかるってどれだけ放置されていたんだよ」
「廃墟とかじゃねーよな?」「なんか怪しいんだけど」などと不安を口にしながら
管理事務所に向かった。

ペンションに戻ってくると、先ほどとは違うおじさんが待っており、準備が出来たので
案内すると歩いて15分ほど離れた森の中にある別荘へ案内された。
そこは本当に完全に森の中で周囲には何も無く、
余程大声で騒いでもまず苦情が来ないような場所だった。

そのおじさんが言うには、暫らく使われていなかったので手間取ったが、
電気も水道もガスもちゃんと通っているし、
携帯は通じないが管理小屋への直通の電話もある、
何の問題も無いとしきりに説明をし始めた。

俺達はなにかおじさんに必死さが感じられてかなり不安になってきたが、
今更どうしようもないので別荘の中に入った。
別荘は外観もそうだったが、洋風のかなり古いつくりで、
築30年か40年くらい経っていそうな建物で、インテリアもそれに見合ってかなり古臭い。
ただし、使われていなかったというわりにかなり小奇麗だった。
今から思うと、小奇麗と言うより「人が使った痕跡が殆ど無い」と
いった方が良い感じだったが。



175:3:2009/06/06(土) 11:35:13 id:Psvxll6A0
一通り別荘内の説明を聞き、建物も2階建てで広いしまんざらでもないなと荷物を降ろし
夕飯のバーベキューの準備をしようとしていると、おじさんが去り際におかしな事を言い出した。
ここは夜中に熊が出る可能性があるので、深夜の外出は控えて欲しいと言う。

俺達はなぜか、かなり念入りに深夜の外出をしない事を約束させられた。
ペンションの密集地から15分しか離れていないこんな場所に??と皆疑問に思ったが、
まあ恐らくガキが夜中に出歩いて問題をおこしたり事故に合うと面倒なので、
怖がらせるような事を言って脅かしているのだろうと納得した。

一日目はそんな感じで過ぎ、晩飯を食った後で夜中の森の中を適当に散策し、
花火をしたりゲームをしたりと遊んで深夜2時頃に寝た。
その日は特におかしな事は無かったのだが、次の日友達の1人が変な事を言っていた。

そいつは夜中に小便がしたくなり、トイレに行くと、外から太鼓の音が聞こえてきたらしい。
俺達は何かの聞き間違いだろうと言ってそのまま流し、本人も気のせいだろうと納得したが、
その日の夜に事件が起きた。

その日、晩飯の焼肉を食い腹もいっぱいになったし暇になり、
する事が無かった俺達は昼間見つけた林道へ肝試しに行く事にした。
肝試し中は何事も無く、俺達はつまんねーなと別荘に戻ると、
入り口に20代後半くらい?の男が立っていて、ドアノブを握っている。
時間は夜10時頃。

こんな時間に管理人の人が来るとも思えず、「空き巣か?」と俺達が近付いていったのだが、
その男はドアノブを握ったままこちらを振り向こうともしない。
足音も声も聞こえるのだから、泥棒や不審者の類なら逃げそうな物だが、
そいつは10mくらいまで近付いても微動だにしない。

何か気持ち悪かったが、メンバーでリーダー格の友達と俺が
「おっさん何してんだよ」と言いながら近付いていき、
男の目の前まで来たのだがそれでも動く気配が無い。
埒があかないので友達が「聞こえてないのかよ!」とそいつの腕を引っ張った。
その瞬間俺と友達は「うわあああああああああ」と大声を上げて後ろへ飛びのいた。



176:4:2009/06/06(土) 11:36:05 id:Psvxll6A0
何故飛びのいたかというと。

そいつの腕を友達がつかんで引っ張った時、
その腕の手首から10cmくらいの場所が、まるでゴム
のようにグニャッと関節ではないところから曲がったためだった。

何事かと他の友達が近付いてきたのだが、その時になって男はこちらへ振り向いた。

見た目は普通なのだが、目はどこを見ているのか良く解らない風で焦点が定まっておらず、
口をだらんと開けて涎をたらし、その時になって気付いたのだが、
服装もかなりボロボロでどう見ても普通の人には見えない。
俺達が呆然と男を見ていると、男は俺達がまるで見えていないかのようにそのままフラフラと
森の中へ去って行ってしまった。

俺達はあまりの出来事に動揺し、暫らくその場から動けなかった。
しかし、そのままそこにいるわけにもいかず、
俺達はふと我に帰り大急ぎで別荘内に入りドアの
鍵を閉めると、全員で室内の全てのドアの鍵をチェックし、それが終るとリビングに集まった。

そして皆「なんだよあれ…」「幽霊か?」「でも触れたぞ」
「あの腕の曲がり方ありえないだろ…」
などとパニックになって興奮気味に話していると、今度は外から

…ドン …ドン …ドン

と微かに太鼓の音?が聞こえて来た。
その音はゆっくりとだがこちらへ近付いてきているようで、
俺達はみな押し黙り聞き耳を立てて音のするほうに集中していた。
音が庭辺りにまで近付いた頃、不安が最高潮に達した俺は我慢できなくなり、
リビングのカーテンを開けて外を見た。
すると…



177:5:2009/06/06(土) 11:37:15 id:Psvxll6A0
暗がりで良く見えないが、何か大きな球状のものが
転がりながらこちらへ近付いてくるのが見えた。
太鼓のような音はその球状の物体からしているらしく、…ドンと音がすると転がり、
また…ドンと音がすると止まる、それを繰り返しながら、
大通りから別荘へ向かう道をゆっくりとこちらへ向かってきている。

大きさは5〜6mくらいあったと思う。
他の友達も窓を見たまま動かない俺が気になったらしく、
全員窓の側へやってきて「それ」を見ていた。

暫らく皆黙ってその様子を見ていたのだが、
暗がりで良く解らないので正体がつかめず、誰も一言も話さずずっと「それ」を凝視していた。
するとかなり近付いた頃、「それ」は玄関近くまでやってきたため、
玄関についている防犯用のライトが点灯した。

その瞬間俺は「なんだよあれ!洒落になんねーよ!」と慌ててカーテンを閉めた。
カーテンを閉める前、一瞬ライトに照らされた「それ」は、なんと表現したら良いのか…
「無数の人の塊」とでも言うような物体だった。
老若男女様々な人が、さっきの男と同じように口を開け涎をたらし、
どこも見ていないような焦点の合っていない目の状態で、
関節などとは関係なく体と体が絡みつき、何十人もの人が
一つの「塊」となって転がっていたのだった。

俺以外も全員その「人の塊」を見たため、あまりの恐怖に何も言えず、
俺達はリビングの端の方に一塊になりガタガタと震えながら
「どうなってんだよ…」「なんだよこれ…」などと不安を口にしていた。

暫らくすると太鼓の音のようなドンという音が聞こえなくなった。
「それ」がいなくなったのかどうか解らない俺達は、
そのままリビングの端でじっとしていると、今度は玄関の方から

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

と激しくドアを叩く音が聞こえてきた。

178:6:2009/06/06(土) 11:38:42 id:Psvxll6A0
俺は恐怖と不安でパニック状態で耳を塞ぎ、
他のやつも皆耳を塞ぎ必死で今の事態に耐えて
いたのだが、暫らくすると今度は建物中のあちこちから

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

と窓言わず壁と言わず、あちこちを大勢の人が滅茶苦茶に叩く音が聞こえてきた。
耐えられなくなった友達が、
「電話しよう、管理事務所直通の電話あっただろ、あれで助けを呼ぼう」と言った。
俺達はハッとその事に気付き、急いで玄関側にある電話に急いだ。

俺が電話を取り、「直通」と書かれたボタンを押すと、
2、3コールの後別荘まで案内してくれたおじさんが電話に出た。
おじさんに必死で事情を話すと、おじさんが独り言のように
「…まさか、まだ出るなんて…」と呟いた後、
「説明は後回しで、リビングに神棚があるね?そこにお札とセロテープが入って
いるから、そのお札をドアに貼って待っていなさい」と言った。

俺達は意味が解らなかったが、他に解決策も無く、
とにかくリビングへ戻り神棚を探す事にした。
神棚は部屋の端の方の天井近くにあった。
椅子を使って中を覗き込むと、たしかにお札とセロテープが入っている。
俺達は急いでそれを出すと、玄関とリビングの入り口のドアと窓にお札を貼った。

窓にお札を貼る時、なるべく外を見ないようにしていたのが、一瞬だけ外を見てしまった。
すると、青白い腕が数本、窓をガンガン叩くのが見え、更に腕の向こうに、
どう考えても腕の位置とは不自然な形で人の顔が見えた。
その顔はやはり他と同じように焦点が合っていない目でだらんと口をあけていた。
俺は外で「それ」がどんな状態になっているのか、恐ろしくて考える事も出来なかった。
何時間くらい経ってからだろうか、外が明るくなり始めた頃、
壁やドアや窓を叩く音は聞こえなくなった。

179:7:2009/06/06(土) 11:39:30 id:Psvxll6A0
それでもまだ「それ」がいつかもしれないとおもうと動けず、
そのままじっとしていると、遠くから車がこっちへ向かってくる音がし始めた。
車が庭に止まると、数人の足音が聞こえてきて、
ドアのチャイムを押す音と、「おーい、大丈夫か?」と声が聞こえてきた。

俺達は「助かった…」と大急ぎで外に出ると、
最初にここの手配をした人と案内した人、それと他に3人のおじさんが来ていた。
手配をした人と案内をしてくれた人がすまなそうに「本当にすまない、もう大丈夫だと
おもっていた、事情を説明するからとにかく荷物をまとめてきてくれ、ゴミとかはその
ままでいいから」と言い、俺達はその通りにして別荘を出た。

車に乗せられ、俺達は神社へ案内された。
一緒に来ていた3人の人はその神社の関係者らしい。
俺達はホッとして緊張感が解けたのと、助かったと言う気持ちもあったが、
それ以上に怒りが湧いてきて「何であんな場所へ泊めたんだよ!」と怒った。
すると、神社の神主さんらしき人がこんな話をし始めた。

あそこは昭和40年代までただの森だったのだが、
観光地開発をするということで40年代の終わり頃に人の手が入った。
それで順調に開発が進んでいたのだが、
あの別荘を建てた昭和50年代前半頃からおかしな事が起こり始めたとか。
別荘が原因なのか開発そのものが原因なのかは今でも解らないらしいが、とにかく
あの太鼓の音や人の塊がその頃から出没し始め、最初の別荘の持ち主とその次の
持ち主はあそこに宿泊中に失踪してしまったらしい。

180:8(最後):2009/06/06(土) 11:41:27 id:Psvxll6A0
それで売りに出され、今の管理組合が所有する貸し別荘となったのだが、
それからも何度もあの人の塊は現れ、被害者は出なかったが
目撃者から散々苦情を言われたので、
神主さんが10年ほど前に御払いをしたとか。

それ以後、貸し出されてはいなかったが、掃除や整備に来た人たちは誰も「それ」を
見かけていなかったため、もう大丈夫だろうということで俺達に貸したらしい。
その結果が昨晩の事件らしい。

俺達は完全に巻き込まれた被害者なので、散々文句を言うと、管理人の人がここまでの
交通費と食費はこちらが持つ事、別荘のレンタル費用もいらないし、次に旅行をする時は
大幅に割引するように代理店に口利きもする、だから本当に申し訳ないけどこの事は
黙っていて欲しいと頭を下げてお願いしてきた。

俺達は何か言いくるめられた気もするが、警察にこんな話をしてもどうせ信じてもらえない
だろうからと、渋々その話を飲むことにした。

以上です。
上に書いたように、そういう事情なので詳しい地名などは書けません。
ちなみに、去年割引してくれるというので旅行代理店に電話した時に聞いたのだが、
あの別荘は取り壊され、今は無い更地になっているらしい。


《神父と女幽霊》

高校がミッションスクールだったんで、聖書の授業とかあったワケです。
で、北斗の次男にソックリなんで「トキ様」と呼ばれたイケ面神父と、上品な関西訛りの
タヌキ顔神父の二人が担当しておられた。
トキ様の前じゃ猫かぶってる女子高生どもだが、タヌキ神父にはけっこう生意気言ってました。

それで授業中、三体合体もとい三位一体とか魂の不滅がどうとかやってる時に
「で、神父様は霊魂をじっさい見られたことあるんですかあ?」
などとブシツケな質問かましたんですね私ら。すると

「ええありますね、わたくしがまだ神学生の時のできごとです」
おお?いい方向に予想外の反応!私らは身をのりだした。

「当時わたくしは学校の寮に入っておりましたが、その日は大晦日でわたくしと寮長様
(この方も神父)を除いてはみなさん帰省しておられました。
わたくしは早々に床についたのですが、夜半、何かの気配を感じめざめました。
…枕元に若い女性が立っておられました。

髪をふりみだし服は血にまみれて、あきらかに生きた人間とは思えません。
そうしてわたくしをじっと見おろしているのです。
このような出来事は生まれて初めてだったわたくしは、もうどうしてよいかわからず、
『マリア様、お助けください、マリア様!』
とただただ祈るばかりでした。(←大阪人の最終兵器はやっぱ”オカン”なのだなあと思った)

すると祈りが通じたのか、すぅー…とその姿は薄れて消えました。
もちろんその後眠るなどとてもできず、寮長様の部屋に泡をくって駆け込みました。
わたくしの話を寮長様は黙って聞いておられましたが、深くうなずくとこうおっしゃいました。
『私もその方にお会いしたことがあります』



798:続:2009/06/10(水) 14:30:07 id:IfhlA3fV0
『十年ほど昔の、今日と同じ大晦日の深夜でした。
自室で書き物をしていた私は、寮の玄関がギイと開く音を耳にしてはっとしました。
私ひとりという気のゆるみから、夜の見まわりと施錠をおろそかにしていたのです。
このような時間、ノックもせず入ってくるような人が教会の方や寮生ではありますまい。
おそらく良からぬ心得の者でしょう。しかし通報しようにも電話は玄関の脇です。

ほぞをかむ思いで部屋の扉ごしに廊下の物音をうかがっておりましたが、
盗人にしてはその様子があまりに異常であることに気づいたのです。
ガリ ガリリ  ぜぇぜぇ  ひゅう ひゅう ガリッ    ざりり  ひゅう う うう
壁を掻く音。 荒い呼吸音。 引きずるような足音。
盗人などではありません。 そもそもこれは人なのでしょうか?
野犬かとも考えたのですが、ときおり聞こえる呻き声はあきらかに獣とはちがっていました。

その、得体の知れない物音はしだいにこちらへと近づいてきます。
私は、逃げることも声を出すこともできずに、じりじりと扉からあとずさりました。
いま、この寮で灯りがついているのは私の部屋だけです。
戸の隙間からもれる光めざして廊下の「あれ」はやってきているのです。
(私ら「…あの、神父様、寮の部屋に鍵は」「ついてませんでした」)
すこしづつ、すこしづつ、爪音とうめき声、
ひきずる足音が私の部屋、いえ私めざしてやってきます。
とうとう、それは扉一枚へだてたむこうにたどりつきました。

がりがりがりがり ガリッ ガガガ がりッ

無茶苦茶に引っかく音がします。ドアノブに気づかないのでしょうか?
願わくばそのまま気づかないでくれ!あきらめてどこかへいってくれ!

音がやみました。
あきらめた…?

がちり
 
ノブがゆっくりと廻りました』



799:終:2009/06/10(水) 14:30:50 id:IfhlA3fV0
『扉が開いたその時、お恥ずかしいことですが、私は腰を抜かして座り込んでしまいました。
凄まじい形相の、服を血でまだらに染めた女性がそこに立っていたのです。
彼女は口や鼻から血を垂らしながらこちらに2、3歩ふらふらとよろめいて、倒れました。
そこでやっと私は、自分が大変なあやまちをおかしてしまった事に気がつきました。

その方は生きておられたのです。

大晦日の深夜、誰もいない神学校の構内で彼女は農薬をあおって自殺をはかったのです。
しかし、あまりの苦しさに、唯一灯りのついていた建物…学生寮に助けを求めたのです。
薬でのどが灼け、声も出せず、這いずるようにして。
死装束のつもりだったであろう白いワンピースは吐いた血と泥で汚れ、裂け、苦悶のあまり
あちこちをかきむしった爪ははがれかかっておりました。

すぐさま救急車をよびました。
しかし、手遅れでした。
助けられたかも知れないのに、私が臆病風に吹かれてしまったばかりに…

祈りましょう。彼女のさまよえる魂の救済を。そしてわたしたちの心の弱さの克服を』