終末の小屋 第2話

あの出来事から1週間が経ち、元の生活を当たり前に繰り返していた。

今まで何度も繰り返してきたように、仕事から帰って家のドアを開けると、


俺は、あの奇妙な小屋の前に立っていた。


周りは見知らぬ真っ暗な林、ひと一人が住むのが限界に思える小さな小屋はとても粗末な作りで、あちこちの木材が欠けたり割れたりしている。

小屋全体が朽ちかけ、崩壊寸前に見えた。

ガラスなど残されていない枠だけの窓からは、ロウソクだろうか、光がゆらゆらと漏れていた。


「なんで・・・」


俺は混乱し、状況把握ができなかった。

頭が真っ白になったまま、しばらく立ち尽くしていた。

どれくらいの時間、そこで固まっていただろうか。

静寂を打ち破るように、突然の轟音があたり一帯に響いた。

ドーン、ドーンと遠くで巨大なものが地面に叩きつけられているような音だ。

さらに、小屋の壁という壁を内側から叩きまくる音が鳴り響く。

巨大な足が床をドンドンと踏み鳴らす音。

逃げなきゃ、

小屋へ入るための扉が、内側から乱暴に叩きつけられている。

壁の向こうから、人間と思えない唸り声が聞こえる

殺される。

目の前にある立て付けの悪い扉がガタガタと震え、今にも中にいる怪物が飛び出してきそうだ。

そして、扉がはじけるように開いてしまう。

開いた扉の先に立っていたのは、


粗末な身なりをした少年だった。


少年は泣いていた。

「待って、お願い、逃げないで」