人喰い鬼が来向かうとき
ショート動画での連載企画「キョウレツナ怪談」の第一弾、
「人喰い鬼が来向かうとき」が完結しました。
人里離れた炭焼職人たちの集落を襲った惨劇の物語です。
1本にまとめた動画もありますので、
ぜひ、見てみてください。
第六話のサムネだけが横画像ですが、
とくに深い意味はなく、たんに作り間違っただけです。
1本にまとめた動画。
予告編Aサムネ
予告編B ココアが無いので飲めません。
第一話
第二話
第三話
第四話
第五話
第六話
第七話
最終話
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動画作成用原稿
予告用原稿
山を三つ越えた村から、一人の娘が逃げてきた。
真っ白な着物に足は素足。
髪は荒れ、手足は氷のように冷たかった。
その娘は最初、無口だった。
しかし、ようやく口を開いた彼女の話す内容は、
地獄のような光景だった。
彼女の村で真夜中。
月明かりの下で村人は皆、何かに頭から喰われた。
獣のような荒い息遣い、肉を引き千切る音、バキバキと骨を砕く音。
悲鳴、怒号、泣きわめく声。
村は鬼に、飲まれたのだ。
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鬼
長め、いい雰囲気
人喰い鬼が来向かうとき01
前回・次回はコメ欄から
(画面上、文字)
タイトル、
百物語風
画面真ん中に、小さく背景。
右には立ち絵、
左には、彼岸花。
琵琶の音色。
(山、煙があるとよい、または炭焼き場)
(冬山の効果音)
「冬山」
季節は冬。
最初は、一枚絵のタイトル画面。
グレンラガンみたいな、
画面に大きく文字びっしり。
バーンの音楽(祟り)、
インパクトのあるタイトル画像、
フェード、
以下、本編。
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人喰い鬼が来向かうとき
(時代は戦国)
神奈川の山中に、炭焼き職人が集まる小さな集落があった。
普段は使われていないのだが、冬になると一時的に職人たちが集まることで知られていた。
(麓の村に下りない、変わり者ばかり、と言う噂だった)
(黒い影絵があると良い)
冬のある日、その小さな集落に、一人の娘が逃げてきた。
その娘は、山を三つ越えた場所にある小さな村の出で、村が何者かに襲われて一人だけ、逃げて来たのだと言う。
真っ白い着物に素足、ザンバラ髪、初めは幽霊かと勘違いされた。
手足が氷のように冷たく、目が虚ろだったために、慌てて小屋の中に導かれた。
◇
(「他の村人は、どうした?」
炭焼き職人達が、娘に色々聞いたのだが、がたがたと震えるだけで、まるで要領を得ない)
暖炉が冬の薪木小屋を温め、しばらく時間が経つ。落ち着いてきた娘が、ようやく口を開き始めた。
その内容は、村の崩壊を目の当たりにした、とても信じられない惨状だった。
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小屋の背景、
娘の顔のアップ。
表情は分かりづらく。
(ここ、分かりづらいからカットするか)
(流れ的にも、カットしたほうが良い)
領主を呪う為に、生贄狩りをしていると言う噂が、娘の村に流れたのは、今月に入ってからだった。
何でも、幾つかの村は襲われて、全滅したらしい。
疑わしい話なので、誰も信用しなかったが、それでも、不穏な空気を感じざるを得なかった。
◇
(ミリアルさんに喋らせたい)
全部、喋らせるのもつらいので、
会話形式にするか。
もっとセリフを減らしたい。
男声
「お前の村で、何があった?」
「わいが住んでいた村に、奇妙な仮面を被った一団がやってきたのは、五日前のことじゃった。」
焚き火の炎を見つめながら、娘が話す。
瞳はどこを見ているのか、焦点が合っていない。
よほど、ひどい目にあったのだろう。
(カットしてもよい)
「領主さまの意向に従い、厄払いの儀式を行うため、この村に派遣されたそうな。」
「仮面の集団の長らしき者は、領主さまからの手紙を、わいの村の村長に渡した。そのあと、村長の警戒を解くかのように、何かを渡したらしい。」
「わいは、その様子を見ていないので、詳しいことは分からん。
まわりの村人たちは、村長の態度が変わったのを見て、金でも貰ったんじゃないか? と噂していた。
◇
(月夜、山)
その夜、村の皆が、得体の知れぬ夢を見た。
次々に飛び起き、村の広場に集まっていた。村全体が、昼間のように騒がしかった。
わいも、その夢を見た。
形容しがたい、ドロドロの何かが、村を飲み込む夢。
そうして一人残らず、人間を食べてしまう。
それを見たのは、一人二人ではない。
皆、その夢を見た。
(ゆっくり声)
(これは、奇妙な儀式と関係があるのでないか。)
村長が、村はずれに滞在中の仮面の長の所へ抗議に行った。
だがその時、悲劇は始まっていた。
村長と数人の若者が突然、目の前で消えた。
そして聞こえてくる、獣のような荒い息遣い。
肉を引きちぎる音、バキバキと骨を砕く音。
人よりはるかに大きく、真っ黒な霧の様なものが、人間を、喰っている。
★
人よりはるかに大きく、真っ黒な霧の様なものが、人間を、喰っている。
次いで、松明の火に照らされたのは、転がって来た村長の首だった。
呆気にとられていた村人が、恐慌状態に陥るのは簡単だった。
悲鳴や泣き声、叫び声が聞こえる。
一目散に逃げる者、腰が抜けて座り込む者。泣き叫び、ただ歩き回る者。
(背景、小屋に戻す)
それからのことは、思い出したくもないという。
山の中に逃げ込んだ娘は、背後に沸き起こる悲鳴や怒号に、耳を塞ぎながら山中を逃げまわった。
空が白み始めた。
運良く逃げ延びた娘は、
雪を食べ、沢の水を飲んで、ようやくここまで辿り着いたそうだ。
★
この話が本当なら、大変なことだ。
娘が嘘を言っているようには、とても見えない。
山道が雪に閉ざされる前に、麓の村に知らせに行かねばならない。
炭焼き職人達は、娘を背負うと一路、山を下った。
フェード
(村)
麓の村長は、変わり者だがまじめな炭焼き達の言葉を信じた。
続けて、職人達が言う。
(男声)
「変な集団が来たら、村に入れてはいけない。
領主様に、報告しておくべきだ。」
そう言って娘を麓の村に預けると、炭焼き職人たちは、元いた山の集落に戻っていった。
少なくとも、変な儀式をさせなければ、村は大丈夫だと信じて。
その翌々日、ようやく集落に帰ってきた職人達は、恐怖した。
集落の中で、見慣れない男達が立っている。
それは、仮面を被った怪しげな集団だった。
★
あの娘の言葉が蘇る。
「鬼に、喰われる」
逃げようにも、疲れた彼らには、もうその力が無かった。
仮面の集団に、あっさりと捕まり観念した。
男声
「麓の村は救った。
お前らには、騙されないぞ!」
職人たちの中でも年長の男は、そう言って笑ってやった。
その途端、仮面の集団の長らしき人物が、真っ赤な顔をして叫んだ。
男声(低)
「お前ら・・・誰か村に入れたか!?」
その雰囲気に呑まれた年長の男は、それでも虚勢を張って答える。
「お前らが襲った娘を救っただ・・・・」
「バカが!!!!」
男の言葉を遮って、怒鳴りつける長。
「お主等が”導いた”のは、人の姿をした鬼じゃ!」
★
何を言っているのだ。
訳が判らない。
あの可愛らしい娘が、よもや鬼などということは考えられなかった。
「嘘じゃ!お前らの言うことは信じられんわ」
「・・・・お前ら。冬山で只の娘が、どれ位、彷徨うて生きていられると思うか?」
「・・・・・・」
「その娘、当に死んでおるわ。目は?体は?生気はあったか?」
仮面の長の言葉が、がんがんと響く。
言われてみれば、思い当たる節はある。
長は、続けて言う。
「皆殺しにした村の中から、都合の良い人間を見つけ、中に入り込み、次の村を襲う。
村々には、悪霊避けの護符がある所が多く、人の姿を借りると共に、”導いてくれる”人間が必要となる。
人の姿を借りていたのが、あの娘で、それを導いたのが、お前らだ」
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それを聞いた職人達は、とんでもない事をしてしまったと言う恐怖に染まった。
言葉もない。
慌てて戻ろうとする男を、長が止める。
「・・・もう遅い。二日も経っているのだろう・・・・。今回も間に合わなかったか・・・」
無念そうに呟く。
職人達に、この土地から離れるように告げると、彼らは無言のまま、村ヘと向かった。
鬼を追うために・・・
職人達は、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。
(フェードアウト)