人喰い鬼が来向かうとき

 

ショート動画での連載企画「キョウレツナ怪談」の第一弾、

「人喰い鬼が来向かうとき」が完結しました。

人里離れた炭焼職人たちの集落を襲った惨劇の物語です。

1本にまとめた動画もありますので、

ぜひ、見てみてください。

 

第六話のサムネだけが横画像ですが、

とくに深い意味はなく、たんに作り間違っただけです。

 

1本にまとめた動画。

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https://youtu.be/ku8HPEGQ2cI

 

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予告編Aサムネ

 

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予告編B ココアが無いので飲めません。

 

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第一話

 

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第二話

 

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第三話

 

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第四話

 

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第五話

 

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第六話

 

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第七話

 

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最終話

 

 

動画作成用原稿

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予告用原稿

山を三つ越えた村から、一人の娘が逃げてきた。
真っ白な着物に足は素足。
髪は荒れ、手足は氷のように冷たかった。
その娘は最初、無口だった。
しかし、ようやく口を開いた彼女の話す内容は、
地獄のような光景だった。

彼女の村で真夜中。
月明かりの下で村人は皆、何かに頭から喰われた。
獣のような荒い息遣い、肉を引き千切る音、バキバキと骨を砕く音。
悲鳴、怒号、泣きわめく声。
村は鬼に、飲まれたのだ。



長め、いい雰囲気

人喰い鬼が来向かうとき01
前回・次回はコメ欄から
(画面上、文字)

 

タイトル、
百物語風
画面真ん中に、小さく背景。
右には立ち絵、
左には、彼岸花
琵琶の音色。

(山、煙があるとよい、または炭焼き場)
(冬山の効果音)
「冬山」
季節は冬。

最初は、一枚絵のタイトル画面。
グレンラガンみたいな、
画面に大きく文字びっしり。

バーンの音楽(祟り)、
インパクトのあるタイトル画像、
フェード、
以下、本編。

 

人喰い鬼が来向かうとき

 

(時代は戦国)
神奈川の山中に、炭焼き職人が集まる小さな集落があった。
普段は使われていないのだが、冬になると一時的に職人たちが集まることで知られていた。
(麓の村に下りない、変わり者ばかり、と言う噂だった)

(黒い影絵があると良い)

冬のある日、その小さな集落に、一人の娘が逃げてきた。
その娘は、山を三つ越えた場所にある小さな村の出で、村が何者かに襲われて一人だけ、逃げて来たのだと言う。
真っ白い着物に素足、ザンバラ髪、初めは幽霊かと勘違いされた。
手足が氷のように冷たく、目が虚ろだったために、慌てて小屋の中に導かれた。

(「他の村人は、どうした?」
炭焼き職人達が、娘に色々聞いたのだが、がたがたと震えるだけで、まるで要領を得ない)

暖炉が冬の薪木小屋を温め、しばらく時間が経つ。落ち着いてきた娘が、ようやく口を開き始めた。
その内容は、村の崩壊を目の当たりにした、とても信じられない惨状だった。

小屋の背景、
娘の顔のアップ。
表情は分かりづらく。

(ここ、分かりづらいからカットするか)
(流れ的にも、カットしたほうが良い)

領主を呪う為に、生贄狩りをしていると言う噂が、娘の村に流れたのは、今月に入ってからだった。
何でも、幾つかの村は襲われて、全滅したらしい。
疑わしい話なので、誰も信用しなかったが、それでも、不穏な空気を感じざるを得なかった。

(ミリアルさんに喋らせたい)
全部、喋らせるのもつらいので、
会話形式にするか。

もっとセリフを減らしたい。

男声
「お前の村で、何があった?」

「わいが住んでいた村に、奇妙な仮面を被った一団がやってきたのは、五日前のことじゃった。」

焚き火の炎を見つめながら、娘が話す。
瞳はどこを見ているのか、焦点が合っていない。
よほど、ひどい目にあったのだろう。

(カットしてもよい)
「領主さまの意向に従い、厄払いの儀式を行うため、この村に派遣されたそうな。」

「仮面の集団の長らしき者は、領主さまからの手紙を、わいの村の村長に渡した。そのあと、村長の警戒を解くかのように、何かを渡したらしい。」

「わいは、その様子を見ていないので、詳しいことは分からん。
まわりの村人たちは、村長の態度が変わったのを見て、金でも貰ったんじゃないか? と噂していた。

(月夜、山)

その夜、村の皆が、得体の知れぬ夢を見た。
次々に飛び起き、村の広場に集まっていた。村全体が、昼間のように騒がしかった。

わいも、その夢を見た。
形容しがたい、ドロドロの何かが、村を飲み込む夢。
そうして一人残らず、人間を食べてしまう。
それを見たのは、一人二人ではない。
皆、その夢を見た。

(ゆっくり声)
(これは、奇妙な儀式と関係があるのでないか。)
村長が、村はずれに滞在中の仮面の長の所へ抗議に行った。

だがその時、悲劇は始まっていた。
村長と数人の若者が突然、目の前で消えた。
そして聞こえてくる、獣のような荒い息遣い。
肉を引きちぎる音、バキバキと骨を砕く音。
人よりはるかに大きく、真っ黒な霧の様なものが、人間を、喰っている。

人よりはるかに大きく、真っ黒な霧の様なものが、人間を、喰っている。
次いで、松明の火に照らされたのは、転がって来た村長の首だった。
呆気にとられていた村人が、恐慌状態に陥るのは簡単だった。
悲鳴や泣き声、叫び声が聞こえる。
一目散に逃げる者、腰が抜けて座り込む者。泣き叫び、ただ歩き回る者。


(背景、小屋に戻す)

それからのことは、思い出したくもないという。
山の中に逃げ込んだ娘は、背後に沸き起こる悲鳴や怒号に、耳を塞ぎながら山中を逃げまわった。

空が白み始めた。
運良く逃げ延びた娘は、
雪を食べ、沢の水を飲んで、ようやくここまで辿り着いたそうだ。

この話が本当なら、大変なことだ。
娘が嘘を言っているようには、とても見えない。
山道が雪に閉ざされる前に、麓の村に知らせに行かねばならない。
炭焼き職人達は、娘を背負うと一路、山を下った。

フェード
(村)
麓の村長は、変わり者だがまじめな炭焼き達の言葉を信じた。
続けて、職人達が言う。

(男声)
「変な集団が来たら、村に入れてはいけない。
領主様に、報告しておくべきだ。」

そう言って娘を麓の村に預けると、炭焼き職人たちは、元いた山の集落に戻っていった。
少なくとも、変な儀式をさせなければ、村は大丈夫だと信じて。

その翌々日、ようやく集落に帰ってきた職人達は、恐怖した。
集落の中で、見慣れない男達が立っている。
それは、仮面を被った怪しげな集団だった。

あの娘の言葉が蘇る。

「鬼に、喰われる」

逃げようにも、疲れた彼らには、もうその力が無かった。
仮面の集団に、あっさりと捕まり観念した。

男声
「麓の村は救った。
お前らには、騙されないぞ!」

職人たちの中でも年長の男は、そう言って笑ってやった。
その途端、仮面の集団の長らしき人物が、真っ赤な顔をして叫んだ。

男声(低)
「お前ら・・・誰か村に入れたか!?」

その雰囲気に呑まれた年長の男は、それでも虚勢を張って答える。

「お前らが襲った娘を救っただ・・・・」

「バカが!!!!」

男の言葉を遮って、怒鳴りつける長。

「お主等が”導いた”のは、人の姿をした鬼じゃ!」

何を言っているのだ。
訳が判らない。
あの可愛らしい娘が、よもや鬼などということは考えられなかった。

「嘘じゃ!お前らの言うことは信じられんわ」

「・・・・お前ら。冬山で只の娘が、どれ位、彷徨うて生きていられると思うか?」
「・・・・・・」
「その娘、当に死んでおるわ。目は?体は?生気はあったか?」

仮面の長の言葉が、がんがんと響く。
言われてみれば、思い当たる節はある。
長は、続けて言う。

「皆殺しにした村の中から、都合の良い人間を見つけ、中に入り込み、次の村を襲う。
村々には、悪霊避けの護符がある所が多く、人の姿を借りると共に、”導いてくれる”人間が必要となる。
人の姿を借りていたのが、あの娘で、それを導いたのが、お前らだ」


それを聞いた職人達は、とんでもない事をしてしまったと言う恐怖に染まった。
言葉もない。
慌てて戻ろうとする男を、長が止める。

「・・・もう遅い。二日も経っているのだろう・・・・。今回も間に合わなかったか・・・」

無念そうに呟く。
職人達に、この土地から離れるように告げると、彼らは無言のまま、村ヘと向かった。
鬼を追うために・・・
職人達は、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。

(フェードアウト)