終末の小屋 第3話
年は十歳前半だろうか。長い髪は乱れ所々逆立ち、灰色の着物はシミだらけ。
栄養状態も良くなかったのか、枯れ木のような立ち姿だった。
落ち着きを取り戻した少年は、小屋の中の部屋に俺を手招いた。
このまま逃げてもよかったのだが、俺は吸い込まれるように小屋の中に入ってしまった。
どこか、この少年をほっておけないという気持ちがあったのかもしれない。
小屋に入ると短い廊下があって、破れたふすまの向こうに6畳ほどの部屋があった。
あたりは、また静寂を取り戻していた。
部屋のなかの適当なところに座ると、そこで、不思議な話を話し始めた。
この世の中は、同じように見えて実はたくさん存在しているそうだ。
そのひとつに住んでいるが、寝て起きたら別な世界に移っていたりするらしい。
その世界が、ひとつひとつ壊れていっていて、
泡がはじけるように、どんどん数が減っている。
このままでは世界が終わる。
なぜ、壊れているのか、
世界の寿命だから、地球の寿命だから。
丸い小さなテーブルの上に、一冊の本が置いてある。
少年は、その本を手に取ると俺に差し出した。
その本には、このような内容がつづられていた。