べっ甲飴
ニコニコ
https://www.nicovideo.jp/watch/sm40744392
https://www.youtube.com/watch?v=JPH_cqe26t4
ベッコウ飴
これは、私がまだ小さかった時に体験した出来事です。
ある夏に近所の神社の縁日でたくさんの屋台が出ており、そこで『べっ甲飴』の屋台が出ていました。
飴は小さくてまるい物という認識しかなかった私は、色付きガラスの様なべっ甲飴と、むせ返る様な飴の甘い匂いにわくわくしました。
一緒にいた両親は『綺麗ね』とは言いますが、『虫歯になってしまう』『こんな大きいのは食べ切れない』などの理由で買ってはくれません。
べっ甲飴にすっかり魅了された私は、次の日から毎日屋台を一人で見に行っていました。
数日続いた縁日の最終日になり、その頃には顔馴染みになっていたべっ甲飴屋のおじさんは、
最後に棒付きの小さいべっ甲飴を「(食べ終わったら)歯ぁー磨けよ~」と言いながらくれました。
私は早速どこかで座って食べようと、境内を見渡しながら歩きます。
他のおじさんにも『これもやるよ』と、砕けたべっ甲飴が詰まった袋をもらいました。
境内の脇で、もらった棒付きべっ甲飴を食べました。
途中でそろそろ帰ろうと、べっ甲飴屋さんの屋台の前に行き「バイバイ、飴ありがとう」の意味で手を振ります。
べっ甲飴屋のおじさんが片づけをしながら『もう食ってるんか』と笑いながら話しかけてきました。
私は「まだこっちもあるよ」と砕けた飴が入ってる袋を見せます。
するとおじさんはじっとその袋を見ると、こっちへよこせと手招き。
袋の中は『割れたガラスの破片』でした。
もし「砕けた飴」の方から食べ始めていたら…。
今でも縁日に行ったり、屋台関連の風景を見ると思い出します。
その後警察が来て、縁日の中で異様な雰囲気になったことを強烈に覚えています。
べっ甲飴屋のおじさんと話し、迎えに来た母と一緒に警察の方に事情を聞かれました。
私は泣いてしまい、あまりまともに返答は出来ていなかったと思います。
大人になってから母にこの時の事を聞いたところ、他の屋台の方が『怪しい男が袋を持って立っていた』と証言したらしいです。
捕まったかどうかは分かりません。