Chrome拡張機能で読書アシストを試してみよう

 
 
 
次は、Chrome拡張機能としても発表されている読書アシストの機能を試してみましょう。
文頭が、ズレてますし、
PCだと分かりづらいけど、
文章の背景が交互にベージュになっていますね。
これは、CSSの機能で再現できないものだろうか。
 
読書アシストの拡張機能は、追加してから、
文章をブラウザで表示して、右クリックで選択すれば、
別ウィンドウで表示できました。
 

f:id:seiuipad:20200813180402p:plain

 
 
【洒落怖】洒落にならない怖い『八尺様』
 
 908: 1/9:2008/08/26(火) 09:45:56 ID:VFtYjtRn0 親父の実家は、自宅から車で二時間弱くらいのところある。
 
農家なんだけど、何かそういった雰囲気が好きで、 高校になってバイクに乗るようになると、夏休みとか冬休みなんかには、よく一人で遊びに行ってた。
 
じいちゃんとばあちゃんも、「よく来てくれた」と喜んで迎えてくれたしね。
 
でも最後に行ったのが、高校三年にあがる直前だから、もう十年以上も行っていないことになる。
 
決して「行かなかった」んじゃなくて、「行けなかった」んだけど、その訳はこんなことだ。
 
 
春休みに入ったばかりのこと、いい天気に誘われて、じいちゃんの家にバイクで行った。
 
まだ寒かったけど、広縁はぽかぽか気持ちよく、そこでしばらく寛いでいた。
 
そうしたら、 「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ…」 と、変な音が聞こえてきた。
 
機械的音じゃなくて、人が発してるような感じがした。
 
それも、濁音とも半濁音とも、どちらにも取れるような感じだった。
 
何だろうと思っていると、庭の生垣の上帽子があるのを見つけた。
 
生垣の上置いてあったわけじゃない。
 
帽子はそのまま横に移動し、垣根の切れ目まで来ると、一人女性が見えた。
 
まあ帽子は、その女性が被っていたわけだ。
 
女性は白っぽいワンピースを着ていた。
 
でも、生垣の高さは二メートルくらいある。
 
その生垣から頭を出せるって、どれだけ背の高い女なんだ… 驚いていると、女はまた移動して視界から消えた。帽子も消えていた。
 
また、いつのまにか「ぽぽぽ」という音も無くなっていた。
 
909: 2/9:2008/08/26(火) 09:46:59 ID:VFtYjtRn0 そのときは、もともと背が高い女が超厚底のブーツを履いていたか、 踵の高い靴を履いた背の高い男が女装したか、くらいにしか思わなかった。
 
その後、居間でお茶を飲みながら、じいちゃんとばあちゃんにさっきのことを話した。
 
「さっき、大きな女を見たよ。男が女装してたのかなあ」と言っても、「へぇ~」くらいしか言わなかったけど、 「垣根より背が高かった。帽子を被っていて、『ぽぽぽ』とか変な声出してたし」 と言ったとたん、二人の動きが止ったんだよね。
 
いや、本当にぴたり止った。
 
その後、「いつ見た」「どこで見た」「垣根よりどのくらい高かった」と、 じいちゃんが怒ったような顔で質問を浴びせてきた。
 
じいちゃんの気迫に押されながらもそれに答えると、急に黙り込んで、 廊下にある電話まで行き、どこかに電話をかけだした。
 
引き戸が閉じられていたため、何を話しているのかは良く分からなかった。
 
ばあちゃんは、心なしか震えているように見えた。
 
じいちゃんは電話を終えたのか、戻ってくると、 「今日は泊まっていけ。いや、今日は帰すわけには行かなくなった」と言った。
 
――何かとんでもなく悪いことをしてしまったんだろうか。
 
必死に考えたが、何も思い当たらない。
 
あの女だって、自分から見に行ったわけじゃなく、あちらから現れたわけだし。
 
そして、「ばあさん、後頼む。俺はKさんを迎えに行って来る」と言い残し、 軽トラックでどこかに出かけて行った。
 
 
 
910: 3/9:2008/08/26(火) 09:48:03 ID:VFtYjtRn0 ばあちゃんに恐る恐る尋ねてみると、 「八尺様に魅入られてしまったようだよ。じいちゃんが何とかしてくれる。何にも心配しなくていいから」 と震えた声で言った。
 
それからばあちゃんは、じいちゃんが戻って来るまで、ぽつりぽつり話してくれた。
 
この辺りには「八尺様」という厄介なものがいる。
 
八尺様は大きな女の姿をしている。
 
名前の通り八尺ほどの背丈があり、「ぼぼぼぼ」と、男のような声で変な笑い方をする。
 
人によって、喪服を着た若い女だったり、留袖の老婆だったり、野良着姿の年増だったりと、見え方が違うが、 女性で異常に背が高いことと、頭に何か載せていること、それに気味悪い笑い声は共通している。
 
昔、旅人に憑いて来たという噂もあるが、定かではない。
 
この地区(今は○市の一部であるが、昔は×村。
 
今で言う「大字」にあたる区分)に、地蔵によって封印されていて、よそへは行くことが無い。
 
八尺様に魅入られると、数日のうち取り殺されてしまう。
 
最後に八尺様の被害が出たのは、十五年ほど前。
 
これは後から聞いたことではあるが、地蔵によって封印されているというのは、 八尺様がよそへ移動できる道というのは、理由は分からないが限られていて、その道の村境に地蔵を祀ったそうだ。
 
八尺様の移動を防ぐためだが、それは東西南北の境界に、全部四ヶ所あるらしい。
 
もっとも、何でそんなものを留めておくことになったかというと、周辺の村と何らか協定があったらしい。
 
例えば、水利権を優先するとか。
 
八尺様の被害は、数年から十数年に一度くらいなので、 昔の人は、そこそこ有利な協定を結べれば良し、思ったのだろうか。
 
 
 
911: 4/9:2008/08/26(火) 09:49:15 ID:VFtYjtRn0 そんなことを聞いても、全然リアルに思えなかった。当然だよね。
 
そのうち、じいちゃんが一人の老婆を連れて戻ってきた。
 
「えらいことになったのう。今はこれを持ってなさい」 Kさんという老婆はそう言って、お札をくれた。
 
それから、じいちゃんと一緒に二階へ上がり、何やらやっていた。
 
ばあちゃんはそのまま一緒にいて、トイレに行くとき付いてきて、トイレのドアを完全に閉めさせてくれなかった。
 
ここにきてはじめて、「なんだかヤバイんじゃ…」と思うようになってきた。
 
しばらくして二階に上がらされ、一室に入れられた。
 
そこは窓が全部新聞紙で目張りされ、その上お札が貼られており、四隅には塩が置かれていた。
 
また、木でできた箱状のものがあり(祭壇などと呼べるものではない)、その上小さな仏像が乗っていた。
 
あと、どこから持ってきたのか、『おまる』が二つも用意されていた。
 
これで用を済ませろってことか… 「もうすぐ日が暮れる。いいか、明日の朝までここから出てはいかん。
 
俺もばあさんもな、お前を呼ぶこともなければ、お前に話しかけることもない。
 
そうだな、明日朝の七時になるまでは絶対ここから出るな。
 
七時になったらお前から出ろ。家には連絡しておく」 と、じいちゃんが真顔で言うものだから、黙って頷く以外なかった。
 
「今言われたことは良く守りなさい。お札も肌身離さずな。何かおきたら仏様の前お願いしなさい」 と、Kさんにも言われた。
 
 
 
912: 5/9:2008/08/26(火) 09:50:22 ID:VFtYjtRn0 テレビは見てもいいと言われていたので点けたが、見ていても上の空で気も紛れない。
 
部屋に閉じ込められるときに、ばあちゃんがくれたおにぎりやお菓子も食べる気が全くおこらず、 放置したまま、布団に包まってひたすらガクブルしていた。
 
そんな状態でもいつのまにか眠っていたようで、 目が覚めたときには、何だか忘れたが深夜番組が映っていて、 自分の時計を見たら、午前一時すぎだった。(この頃携帯を持ってなかった) なんか嫌な時間に起きたなあなんて思っていると、窓ガラスをコツコツ叩く音が聞こえた。
 
小石なんかをぶつけているんじゃなくて、手で軽く叩くような音だったと思う。
 
風のせいそんな音がでているのか、 誰かが本当に叩いているのかは判断がつかなかったが、必死に風のせいだと思い込もうとした。
 
落ち着こうとお茶を一口飲んだが、やっぱり怖くて、テレビの音を大きくして無理やりテレビを見ていた。
 
そんなとき、じいちゃんの声が聞こえた。
 
「おーい、大丈夫か。怖けりゃ無理せんでいいぞ」 思わずドアに近づいたが、じいちゃんの言葉をすぐ思い出した。
 
また声がする。
 
「どうした、こっちに来てもええぞ」 じいちゃんの声に限りなく似ているけど、あれはじいちゃんの声じゃない。
 
どうしてか分からんけど、そんな気がして、そしてそう思ったと同時に、全身に鳥肌が立った。
 
ふと隅の盛り塩を見ると、それは上のほう黒く変色していた。
 
 
 
913: 本当にあった怖い名無し:2008/08/26(火) 09:51:23 ID:VFtYjtRn0 一目散に仏像の前座ると、お札を握り締め「助けてください」と必死にお祈りをはじめた。
 
そのとき、 「ぽぽっぽ、ぽ、ぽぽ…」 あの声が聞こえ、窓ガラスがトントン、トントン鳴り出した。
 
そこまで背が高くないことは分かっていたが、 アレが下から手を伸ばして、窓ガラスを叩いている光景が浮かんで仕方が無かった。
 
もうできることは、仏像に祈ることだけだった。
 
とてつもなく長い一夜に感じたが、それでも朝は来るもので、 つけっぱなしのテレビが、いつの間にか朝のニュースをやっていた。
 
画面隅に表示される時間は、確か七時十三分となっていた。
 
ガラスを叩く音も、あの声も気づかないうち止んでいた。
 
どうやら眠ってしまったか、気を失ってしまったかしたらしい。
 
盛り塩はさらに黒く変色していた。
 
念のため自分の時計を見たところ、ほぼ同じ時刻だったので、恐る恐るドアを開けると、 そこには、心配そうな顔をしたばあちゃんとKさんがいた。
 
ばあちゃんが「よかった、よかった」と涙を流してくれた。
 
下に降りると、親父も来ていた。
 
じいちゃんが外から顔を出して、「早く車に乗れ」と促し、庭に出てみると、 どこから持ってきたのか、ワンボックスのバンが一台あった。
 
そして、庭に何人かの男たちがいた。
 
文字制限のため以下略。