父が狂い、母が殺された話

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新しい動画をアップしました。

なんか、タイトルが直球というか、ぼかそうともしないタイトルですね。

久しぶりの、ヒトコワ話となります。

父と母に、何があったのか。

それは、誰にも分かりません。


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原作「父と母」

 

ある夜、ふと目が覚めました。
おれは、寝付きがいいので夜中に目が覚めることはめったに無いのですがその日は熱帯夜だったので寝汗だらけで目覚めました。

当然家族は寝てるので、夜はいつも忍び足で皆を起こさないようにしていました。
俺は一階のトイレに行き用を足そうとしたのですが、何か物音がきこえます。和室の明かりが点いてる。

おかしいと思い、ふすまを少し開きました。
俺は恐ろしくて、固まりました…

父が、母の首を絞めているのが見えました。。。

状況が全然読み込めない。
母が大人しくなると、父は押し入れに隠しました。
そこまで見るとこれは現実なんだと言うことに気付いておれは足音を立てずに急いで部屋に戻りました。
ベットに入り、おれはガクガク震えていました。

俺は全く眠れず、朝になりました。
自室から出ると、朝食の臭いがする。
もしかしたら、あれは幻覚ではないのか?

キッチンに行くと父が、トーストを焼いている。

「…母さんは?」
「ああ、今日は仕事でしばらく出張になるそうなんだ。」
「…そ…そう、、」

やっぱり昨日のは現実なのか?!
内心ぐちゃぐちゃになりながらも反射的に平静を装っていました。
父は普段通りの優しい顔をしています。

「お父さんもうすぐ会社に出るけど、駅まで一緒に行かないか?」

でもその日は、俺はちょうど夏休みに入る日でした。

「言ってなかったっけ、俺今日から夏休みなんだ、、」

父の顔が一瞬曇ったように見えました。

「そう…」

俺は父を見送ると、和室に向かいました。
昨日のは現実だったのか?俺の妄想なのか、確かめる為に…

ふすまを開けると、昨日殺されたはず の母はいませんでした。
おれは凄くほっとしてその場にへたりこんでしまいました。

「何してるんだ?」
「うああああっ!」

後ろに父が居ました。
俺は凄い表情をしてただろうと思います。

「け 、会社は、、?」
「やっぱり父さん、今日は会社を休むよ。」

ふと見ると、父は金づちやのこぎりの入った大具道具を持っています。

「そ、それは、、?」
「ああ、たまには日曜大工でもしようと思ってな」

淡々とした口調で父は言います。

母は居なかった。
でも父はの こぎりを持ってきた。
俺は落ち着いて考えてみようと思い、キッチンで水を飲みました。

水を飲んだ後、なにか臭いがすることに気付きました。
ハエが飛んでいます、床下収納に向かって。

床下を開けると、母が居ました。
小さく体を折り畳んで。
おれは状況を飲み込めないまま、泣いていました。

「仕方なかったんだ…」

すぐそばに父がいました。

「なんで、、」
「母さんは、お前と父さんを捨てて、他の男と出ていこうとしたんだ…
借金までつくって…
その上、父さんを殺そうとしたんだ…」

俺は返事ができませんでした。
昨日まで平穏だったこの家がもう自分の家だとは思えなくなってきました。

「父さん、片付けるから」

そう言って父はのこぎりを持ちました。
俺は見ていられなく、自室に入りました。

どうしたらいいのか全くわからない。
警察に電話するべきだろうか、父を擁護するべきだろうか

いろんなことがぐちゃぐちゃになって思考ができなくなりました。

何かがベットの下に何か落ちていました。
メモのようでした。おそるおそる中を見ると、なぐり書きの字でこう書いてありました。

「●●(俺の名前)はやくにげて。パパはくるってる。ママ」

その後、父は母と一緒にいなくなってしまいました。

11月まとめ動画をアップしました

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今年もあと僅かですね、

みなさん、一年間お疲れ様でした。

 

You Tubeにゆっくり怪談動画を投稿し始めたのが、

今年の8月7日。

もう4ヶ月なんですね、

あっという間です。

 

なんとか、良い動画を作ろうと試行錯誤しましたし、

完成しなかった動画もいくつかあるし、

なんか色々あった4ヶ月間だったと思います。

 

来年も頑張って動画を制作、投稿していきますので、

新しい動画を見かけましたら、

ぜひ見ていただけたら、と思います。

それでは、良いお年を。


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異常な家屋と気味が悪い子供

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ちょっと躓いたりもしたけれど、
何事もなかったように、
また、怪談投稿を再開します。
今回の話は最後にオチもあるので、ぜひ最後まで見てみてくださいね。

OPの部分は、なんとなく「世にも奇妙な物語」っぽいイメージです。
怪異も怖いけど、本当に怖いのは人間。っていうのは、ちょっと人間本位すぎるかなとも思うけれど、定番のテーマですね。
自分個人としては、地球がもつ自然というシステムの中では、人間もまた自然を構成するパーツのひとつ、ぐらいの感覚が好きです。

今回は、動画のスタイルを動画投稿し始めた初期の頃っぽくしてみました。
作業用とか、睡眠用に使う人がいるんだから、タイトルでのびっくり音はやめろっていうのに、未だにやってしまう悪いクセが出ております。

 

 

異常な家屋と気味が悪い子供

(やばい物件より)

(街の効果音、またはオフィス音の効果音、フェードアウト)


世の中には、新築物件や年月の経ったビル、
最近人気のある古民家など、
さまざまな不動産が存在しています。

その中には、事故物件などと呼ばれる、
通常とは違った経歴をもつ物件が存在します。

そしてそのような物件では
普段では考えつかないような怖い体験をする方も、
中にはいらっしゃいます。

しかし、本当に恐ろしいのは、
怪異そのものよりも、
それらを商品としてやりとりしている人間たち、
なのではないでしょうか。

街、道路のイメージ映像

(街の効果音)
・タイトルコール

俺は、競売にかけられた不動産の、
様々な調査を請け負ってる会社で働いている。
仕事内容は、家屋の内壁や外壁、天井や基礎の状態、
柱や壁の傾斜測定などを、写真に撮りながら調査し、
書類にまとめていく作業だ。

数日前、前任者が急に会社に来なくなったとかなんだかで、
やりかけの物件が俺に廻ってきた。

まぁ正直うちの会社は、とある筋の人から頼まれた
「訳あり物件」を取り扱うようなこともやっているので、
こういうことはしょっちゅうある。

俺は、たいして気にもとめず、
前任者が途中まで作った調査資料という汚いメモ書きを持って、
遠路はるばる田舎までやって来た。

 

その物件は、かなり古い建物で損壊が激しく、
あちこちにヒビが入ってたり、湿っぽい匂いがしていた。
相当、テンション下がってたんだけど、
まぁとにかく仕事だからってことで、
気合入れ直してせっせと調査を始めた。

一時間くらい経った頃。
ふと窓から外を見ると、一人の子供が、
向こうを向いてしゃがみ込んでいる。
なにやら遊んでいるようだ。

注意しようかと思ったが、
どこか気味が悪かったんだよね、その子。
なんか覇気がないというか、
微動だにしないというか。

子供特有の元気さが、まるで感じられなかった。
田舎だけあって、辺りはありえない位に
静まり返ってるし、正直少し怖くなったってのもある。

調査している物件の老朽化具合からみて、
3年はほったらかしになってるふうに見える。
「そりゃ子供の遊び場にもなるわな」と思い直し、
「今日は遊んでも良し!」と勝手に判断してあげた。
他人(ひと)んちだけど。

それからしばらくは、何事もなく仕事を
続けてたんだけど、前任者のメモの隅の方に、

「台所がおかしい」

って書いてあるのに気がついた。

調査資料は、その書き込みのほとんどが
部屋の寸法などの数字なので、
そういう文章が書いてあるのは珍しい。

気になって台所の方へ行ってみると、
床が湿ってる以外は
特におかしそうなところはなかった。

ふと、向かいの部屋の奥に置いてある姿見に、
子供の体が少しだけ映ってるのが見えた。
暗くて良くわかんなかったけど間違いない、
さっきの子供だ。

そうか、入ってきちゃったんだな。
そう、ぼんやり考えてたけど、
その子供、ほんと気味悪いんだよね。

物音一つたてないし、辺りは静かすぎるし、
おまけに古い家の独特の匂いとかにやられちゃって、
なんだか気持ち悪くなってきた。

もう、その子を見に行く勇気とかもなくて、
とりあえず、隣にある風呂場の調査に向かった。
というか、風呂場へ逃げ込んだ。

風呂場は風呂場で、またひどかった。
多分、カビのせいだろうけど、
きな臭い匂いと、むせ返るような息苦しさ。

こりゃ長居はできんな、と思ってメモを見ると、
風呂場は、一通り計測されてて安心した。
ただ、その下に、

「風呂場がやばい」

と書いてあった。


普段なら「なにそれ」って感じで
笑うところなんだけど、
その時の俺は、明らかに動揺していた。

手に持っているメモの筆跡が、
書き始めの頃と比べて
どんどん酷くなってきている。

文字が震えるように波打ってしまって、
何が書いてあるのか、ほとんど読めない。

このメモを残した前任者は、無事なんだろうか。
たしか、突然会社に来なくなったはずだ。
まだ、生きているといいが。

ふと周りを見ると、閉めた記憶もないのに
風呂場の扉が閉まってる。
そして、扉のすりガラスのところに
人影が立ってるのが見えた。

さっきの子供だろうか?

色々考えてたら、そのうちすりガラスの人影が、
ものすごい勢いで動き始めた。

なんていうか、踊り狂ってるような感じだった。
頭を上下左右に振ったり、手足をバタバタさせたり、
全身をくねくね動かしたり。

でも、床を踏みしめる音は一切しない。気味が悪いほど静かだった。
ただ目の前で、人影だけがすごい勢いでうごめいている。

もう足がすくんで、うまく歩けなかった。
手は、本当にぶるぶる震えていた。
なにせ尋常ではなかったから、その人影の動きが、、、

どう見ても、人間の動きじゃない。

とは言え、このままここで
じっとしてる訳にもいかない。
風呂場にあった小さな窓から逃げようと、
顔を上げて窓を見た。

窓枠のレバーを引くと、手前に傾く感じで
開く窓だったので、開放部分が狭く、
はたして、大人の体が通るかどうか。

しばらく悩んでたんだけど、
ひょっとしてと思って、あのメモを見てみた。
なんか対策が書いてあるかもと期待していた。

しかし、やっぱりほとんど読めない。
かろうじて読めた一行が、

「顔がない」

だった。

(少し間を置く)

そのとき、窓にうっすらと子供の姿が反射して映った。
多分、真後ろに立ってる。

いつの間に入ったんだ。
相変わらず、何の音も立てずに、この子供は移動してくる。
もう、逃げられない。

意を決して、俺は後ろを振り返る。

(間を置く)

そこには、、、誰もいなかった。

(間を置く)
(室内、効果音)

会社に帰った後に俺は、あることに気がついた。
前任者の残したメモの日付は、三年前の日付だった。
この物件を俺に振ってきた上司に、
そのことを言うと、

「あれおかしいな、もう終わったやつだよこれ」

そう言って、そのまま向こうへ行こうとしたんで、
すぐに腕をつかんで、この物件の詳細を聞いた。
なんでも、顔がぐしゃぐしゃに潰れた子供の霊が出るという、
結構ヘビーな物件だったという。

それで当時の担当者が、
そのことを提出資料に書いたものだから、
クライアントが「そんな物件はいらん」と言って、
つき返してきたという、いわくつきの物件だそうだ。

清書された書類を見ると、確かに「顔がない」とか
「風呂場やばい」とか書いてあった。

まぁ、こういった物件は時々あるらしく、
幽霊が出る、という話を聞いた場合は、
備考欄に「心理的瑕疵有り」と、
さりげなく書くのが通例になってるそうだ。

他の瑕疵物件の書類も見せてもらったが、
なるほどきちんと明記してあった。

なんで今頃こんなものが出てきたんでしょうかね?
と上司に聞いたら、

「んー、まだ取り憑いているんじゃないかな。
当時の担当者って俺だし」

AIに文章を書かせよう・今週日記02

「AIのべりすと」というAIに文章を書いてもらうサービスが

面白そうだったので、動画にしてみました。

 

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次は、人食いヒグマの動画を作ろうと思ったのですが、

AIが文章を自動で書き足してくれるサービスが

面白そうだったので、

急遽、突貫で今週日記02を作ってみました。

 

思いつきの突貫で作った割には、

意外とそれっぽく仕上がったのはないでしょうか。

まだまだ、こすれそうな「AIのべりすと」です。

また、何か面白そうなアイディアがありましたら、

動画にしてみようかなと思っています。

ではでは。

 

「AIのべりすと」

https://ai-novel.com/

 

作中で使用した原稿は、こちらになります。

 

目が覚めると暗い箱の中にいた。

 

最初、意味が分からなかったが、

でかい音がして、明かりが灯った。

 

そして続く、熱風と肉の焼ける音。

この焼けている肉は、俺の足だ。

この明かりは、それを燃やしている炎だ。

痛くはない、薬を盛られているんだろう。

 

しばらく呆然としていたが、突然おっかなくなった。

俺の店は、俺の体は、俺はここで死んじまうのか。

明日は、もう来ないのか。

 

暴れた。

狭い箱の中を、必死になって暴れた。

 

もう、炎は俺の足を焼け尽くして、腰まで来ているのだろうか。

感覚がない。

俺は、もう身をよじることしか出来なかった。

このまま、燃えていくんだろう。

ちきしょう。

 

火葬場の職員のトラウマ

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火葬場の職員のトラウマ #人怖 #ゆっくり怪談

 

俺は、とある県の火葬場で働いている。

ある日の朝、斎場(火葬場のこと)の玄関を掃除してたら、黒いSUV車が入ってきた。

いかにも成金な感じで、時計もフランクミューラーなんかしてるおっさんが、

その車から出てきて、死体を焼いてくれって言うんだ。

 

通常は、うちにご遺体を直接、運んでくる場合には、結構しっかりした

手続きなんかが必要になる。

 

まず、業者とか親族からうちに連絡があって、こっちも届出人の保険証

とか死亡届書を持ってくるようにお願いする。

さらに、他のご遺体を処理する時間に被らないように、時間も指定して

お願いするんだ。

 

ただ、そのおやじはえらい高圧的で、斎場長にもう話が通ってる

からすぐ焼いてくれって、言ってくるんだよ。

 

とりあえず、そのおっさんに待ってもらって斎場長に報告したら、

返事一つで焼いてやれって指示を受けた。

しょうがなく、すぐ準備してオーブン(火葬炉)開けたんだよ。

 

ご遺体は30才くらいの男だった。

なんかまだ死んだばかりというか、普通の死体よりも顔はピンク色している。

エンゼルケアをした方が上手だったのかな。

外傷とかも特になくて、きれいなもんだった。

 

棺桶しめて炉に入れて、焼き始めて大体20分くらいしてから

なんだけど、オーブンの中からもの凄い音がすんだよね。

ドカンドカンって。

その時もうオレは、目の前真っ暗になった。

もしかして生きてたんじゃねーの?って。

 

うちの斎場の場合、ご遺体を焼くときは、全身いっきに

焼くんじゃなくて、足から順々に焼いていくんだ。

20分もしたら、体の半分は焼けている。

例え生きてたとしても、今さら開けて助けるのは無理だって思って

シカトしちまった。

ていうか手足がガクブルってどうすることもできなかった。

 

通常1時間くらいもあればご遺体は全部灰になっちまうんだけど、

めちゃめちゃ怖くて、焼き上がってから30分くらいは、

ずっとオーブン開けられなかった。

例の成金おやじみたいのは、もういなくなってた。

 

オレはどうしても怖いから、斎場長を呼びに行って、

オーブンを開けるのに立ち会ってくれってお願いした。

焼いてる途中で中で音がしたことも、全部説明したよ。

 

結局、斎場長がオーブンを開けたんだけど、炉の扉を開けるときに、

なんか焼肉みたいな匂いが漂って来た。

で、斎場長がトレイを引っ張り出したら、その男は、なぜか半生に

焼けただれていて、体もうつぶせになっているように見えた。

 

その瞬間、オレは訳がわからなくなって、気が遠くなって

倒れたんだけどね。

 

今、冷静に考えてみると、きっとその男は、まだ生きていたんだろうな。

そんで、焼かれる熱さでオーブン中で、棺桶をめちゃくちゃに

ぶっ壊しながら暴れていたんだと思う。

恐らく、それで中のバーナーが壊れて、体が完全に焼けず

半生だったんだと思う。

 

オレは倒れてから、一度もその火葬場には行ってないから、

正確な事情は良くわからない。

 

その後、斎場長がオレのとこに会いに来て、

なぜか1000万円の小切手をくれた。

他言無用だとか、そういうことは一切口にせず、

ただ小切手をくれたんだよね。

 

今は、その金で暮らしている。

正直、あの体験がトラウマになって、今でも夢にでてくる。

しんどいわ。

火葬場の職員のトラウマ・予告編B

ショート枠での製作なので、

カットした部分も多々あります。

下のほうにフルバージョンの原稿を載せておきます。

 

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5年前、俺はコンビニのオーナー兼

店長をやっていた。

親から受け継いだ店で、

そこそこ繁盛していた。

 

ある日、ぶらりと店に

不審者が入ってきた。

対応した店員が傘で目をつぶされ

入院、大きなニュースに

なっちまった。

 

近隣にも悪い噂が立ち、客足は離れ、

店は潰れかけた。

俺は頑張ったよ。

 

休みも取らず店に立ち続けた。

次第に金が足りなくなり、

サラ金に金を借りまくる日々だった。

 

3年後、無事に借金は返済できた。

店もまた、軌道に乗るかと思った矢先、

店の建っていた土地の

再開発事業が立ち上がった。

俺はこの店を手放したくはなかった。

 

その頃だろうか。

怪しい男たちから

付きまとわれるようになった。

多分、俺から土地を、

そして店を奪い取りたいのだろう。

 

親父から受け継いだ、大事な店だ。

くれてなどやるものか。

引っ越し代として、

はした金を持ってきたときも

そう言って追い返してやった。

 

今思えば、あの時手放して、

新しい土地でまた店を

やればよかったな。

 

今、俺は箱の中で燃やされている。

出勤途中に連れ去られ、

気がついたら箱の中だ。

すまんな、親父、

どうやらここまでのようだ。

 

火葬場の職員のトラウマ 予告編A

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火葬場の職員のトラウマ

 

15分で棺は焼け落ちる。

死体は、真っ黒になっている。

 

俺の体は今、燃えている。

 

目が覚めると暗い箱の中にいた。

最初、意味が分からなかったが、

でかい音がして、明かりが灯った。

 

そして続く、熱風と肉の焼ける音。

この焼けている肉は、俺の足だ。

この明かりは、それを燃やしている炎だ。

 

痛くはない、薬を盛られているんだろう。

しばらく呆然としていたが、突然おっかなくなった。

俺の店は、俺の体は、俺はここで死んじまうのか。

明日は、もう来ないのか。

 

暴れた。

狭い箱の中を、必死になって暴れた。

 

もう、炎は俺の足を焼け尽くして、腰まで来ているのだろうか。

感覚がない。

俺は、もう身をよじることしか出来なかった。

このまま、燃えていくんだろう。

 

ちきしょう。

上の部屋のおっさん【人怖】ゆっくり怪談

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馬のように嘶くおっさんは、おっさんが馬なのか、馬がおっさんなのか、人参は好きなのか。
謎のおっさんが引っ越してきた悪夢のお話。


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蛍光灯、ごみ捨て場、
俺の住んでいるマンションの
真上の部屋に、人の良さそうな
初老のおっさんが引っ越してきた。

朝、ゴミ出ししていると、
「おはようございまぁす」
笑顔で挨拶してくれるんだ。

おっさんが越してきてから1ヵ月
ほど経った頃、夜中11時くらいに
上の部屋から、イーッ!とかアーッ!
みたいな感じの奇声が
聞こえるようになった。

後はブルルルルっという、
何かよくわからない音。
うちのマンションは、そんな
薄い壁でもないし、かなりデカい
音だと思う。
奇声は、その後2時間ほど続いた。

はじめはテレビか何かの音だろう
と気にしなかったんだが、
その日から騒音が毎日続くようになった
ので、さすがに辛くなってきた。

我慢できなくなって、さすがに
上の階まで苦情を言いに行くことに。
あのおっさん、朝は笑顔で挨拶してくるし、
話せばわかる人だと思った。
甘かった。

喧嘩腰じゃなく紳士的にすれば、
ご近所トラブルにはならないだろう、
と思っていたんだ。

夜11時頃。
また、例の奇声が聞こえてきたので、
俺はおっさんの部屋に行った。

ドアの前に来ると、
中から、アアアアアッ!
とかイイイイイッ!とか聞こえる。
結構、デカい音だ。

呼び鈴を鳴らしたら、ブルルッ、ブルルッって
音が近づいてきた。
なんだ?と思ってると、勢いよくドアが開いて、
おっさんが物凄い勢いで首を横に振りながら、
ブルルッブルルッって、馬みたいに唇を震わせている。

しばらく呆然としてると、おっさん、

イイイイイッ! ブルルッブルルッ
ブルッ、アアアアアッ! 
ウウウウウッ! ブルッブルルッ!

訳の分からないことを叫びだした。

おっさんは白目で、口の端から
泡が出ていたと思う。
俺、すいませんって謝って、
走って逃げ出したよ。

自分の部屋に戻ってから、
何なんだ、あのおっさんって考えてると、
俺の部屋のドアの外から、
ブルルッ!って音がした。
俺が、ガクブルだよ。
その後、10分ほどでおっさんは
帰ったみたいだが、結局、俺は一晩寝つけなかった。

次の日の朝、怖かったけど用事があったんで、
おっさんと遭遇しないように、
いつもより早く家を出た。

漫画喫茶で少し時間潰すかな、
と思って家を出たついでに
ゴミ出ししてると、

「おはようございまぁす!」

見上げたら、いつも以上に
笑顔のおっさんが顔を出してた。

今、俺は友達の家に泊まって
引っ越しを考えてるよ。
今考えりゃ怖くないし、間抜けだな。
でも、怖かったんだ。

 

 

猫とおっさん【笑える怪談】

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笑える怪談

猫とおっさん

 

 

うちの猫が、床から十数センチ離れた空間に、必死に猫パンチをくらわせていた。

近づいてみても、虫すらいない。それなのに、必死に猫パンチ。

 

いい加減に止めないとアホになるんじゃないか、と心配していたら、通りすがりの弟が、鼻息を荒げている猫をひょいと持ち上げ、その場から撤去した。

 

夕飯時に、猫が空中を殴打していたという話をしたら、

「おっさんが生えてた」

弟がボソッと呟いた。

 

床から、おっさんが顔半分だけ生えていて、猫はその控えめな頭髪に覆われた頭を叩いていたんだそうだ。

 

最初は迷惑そうだった、おっさんの顔が、徐々に泣きそうになってきた。

かわいそうだったので猫を撤去したんだとの事。

 

今日も猫は、おっさんが生えているであろう空間を、無我夢中で殴打している。

 

 

昨夜、うつぶせで寝ていたら金縛りにあった。

声帯が思うように動かず声も出せない。

 

だんだん背中が痒くなってきて、

掻きたいが金縛りで動けずどうにもならない。

 

いい加減イラついてきた頃に、野太いおっさんの声で

 

「ええか、ここがええんか」

 

と囁かれながら、背中を掻かれた。

ここがええのんか、などとテクニシャンな台詞を言うわりには、痒い場所とは見当違いの所を掻かれ続けた。

 

十分ほどで金縛りから解放されたがイライラだけが残った。

体が自由になり、恍惚とした想いで痒い場所を掻きむしっていると、先程と同じおっさんの声が聞こえた。

 

「なんだよお、痒いところ言えばよかったじゃないかあ」

 

無念そうな声色だったが、喋れなかったのでどうしようもなかった。

 

以前、猫にしばかれていたおっさんかと思ったが、弟の話によると未だに床から生えており移動していない。

 

ここ何日かは、猫が機嫌の悪い時にサンドバック代わりにされているだけだそうなので、違うと思われる。

 

むしゃくしゃしている猫は容赦なく雛鳥のような頭を殴打するため、おっさんの頭には血が滲んでいることもあるのだとか。

 

 

覚えてらっしゃるでしょうか。猫にハゲ頭をしばかれるおっさんの話を投下した者です。

 

「姉ちゃん、あのおっさんいねえよ。成仏したっぽい」

弟はここ暫く、おっさんの雛鳥のような頭を見なかったらしい。

自分には元から霊感というものはないので、彼が居ようが居まいが何の変化も感じないが、そういう類のものが視える弟は、

「観察日記つける前に消えやがって」(声は変えない)とぼやいていた。

 

当の加害者である猫も、おっさんが居なくなって数日は、いつものふてぶてしい顔にうっすらと哀愁の入り混じったような表情で、

 

「ぬあーおん、まおーん」

と鳴きながら、おっさんを家のあちこちを探し回り、諦めて不貞寝する、という行動を日に何度も繰り返していた。

 

しかし、おっさんは再び現れた。

家の敷地内から200メートルほど南にある祖父の畑で、真昼の燦燦とした日差しを浴びながら、恍惚とした表情で土に埋まっていたらしい。

 

ここならば、あのケダモノに見つかるまいとでも思ったのかもしれないが、その目論見は甘かった。

 

その日の夕方には、飼い猫がよくつるんでいる野良の茶トラ猫と共に、おっさんを殴打している光景を弟が目撃した。

 

光合成でもしているのだろうか。

陽光を浴びたからといって髪が育つ訳でもないだろうに。

移動もできるのなら、なぜ逃げずに二匹の猫にしばかれているのか。

「怖い話」と一緒に何が検索されてるの?

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「怖い話」というワードと一緒に、

どんなワードが検索されているのか、調べてみました。

 

ラッコで調べた結果は、こうでした。

 

怖い話

実話

まとめ

漫画

最強動画

短編

芸能人

芸人

人間

You Tube

学校

短編

子供向け

朗読

短編集

小説

簡単

漫画

まとめ

海外

なんJ

タイ

体験談

タイトル

対処法

タイピング

体験

体温

体育館

対策

小学生

短い

面白い

低学年

高学年 本

向け ここ なっちゃん

長編

朗読

まとめ

ふみばこ

実話

師匠

まとめ

短編

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長編

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人間

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実話

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ランキング

2020

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2020

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ユーチューブ

まとめ

動画

最新

芸能人の心霊体験

意味が分かると怖い話「無人島」

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意味が分かると怖い話、「無人島」です。

大学の友人が、同じ大学で7人が亡くなった事件のついての映像を持っているという。

俺は、それを見せてもらったのだが・・・。

「解説」は、最後に載せておきますね。

 


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無人島」

 

うちの大学の生徒が7人、
無人島で全員死んだ事件の映像を、
友人が持っているという。
俺は面白がり、それを
見せてもらった。

ビデオが再生されると、
初めは普通の旅行のようだった。
その夜に一人の死体がみつかる。

パニック映画のようだった。
次々と死体で発見されていき、
カメラマンと一人の少女が残った。

「あなたが犯人なんでしょう?!
私が犯人なわけないもん!
それに、こんな状況で
ビデオ撮ってるなんておかしいわよ!」

「違うおれじゃない!
これは警察に証拠として」
少女は話を最後まで聞かずに
外に飛び出していった。
それをすぐ追いかけるカメラの男。

そこで、急に画面が黒くなり、
次に、無残な少女の死体。
それから、首吊り自殺をしたと
思われるカメラの男が映っていた。

そこで、ビデオは終わった。

 

 

「解説」

カメラマンの男は、首吊りで亡くなっている。

それを誰が撮っているのか。

そして、その映像を持っているのは、友人だ。

友人が、犯人だった。

「オキテル」

来週の週末にでもアップできるかな、と思っていたヒトコワ話ですが、

短かったので、さくっと作っちゃいました。

まったく、季節感もなにもない真夏の怖い話ですが、

「寒いからこそアイス」的な感じで宜しくお願いします(汗)

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「オキテル」

 

昔、友達と海に行った時の話。

砂風呂をやろうとしたんだけど、あんまり人目が多い場所だと

ちょっと恥ずかしい。

だから人気のないところで、友達に砂かけて埋めてもらったんだ。

 

日差しは強かったけど、

顔には、日除けのパラソルがかかるようにしてもらって

とても快適だった。

それで、すぐにウトウトしてしまったんだ。

その時、不意に誰かが近づいてくる気配がした。

 

「オキテタラヤル」

 

若くはない女性の声がした。

 

友達の声じゃなかったし、妙に抑揚が無いしゃべり方だった。

かなり眠かったから無視したんだけど、

結局それきり声はかけてこなくて、気配もすぐ立ち去った。

 

しばらくして、砂から出て友達と海で遊んでた。

人も少なくなって、そろそろ帰ろうかというときに、

パラソルをあの場所に置いてきてしまったことを思い出して、

取りにいったのね。

 

言い忘れてたけど、あの時に砂から出る際、

人がまだいるかのように砂を盛り上げて、

パラソルも、顔に当たる部分が

見えないように配置していたわけよ。

 

友達を驚かそうとしていたんだけど、

結局待つのがめんどくさくて、

すぐに別の場所で合流してしまったんだけどね。

 

パラソルを取りに戻った俺が見たのは、

俺のじゃない別のパラソルが、

砂の盛り上がった部分に、

何本も突き刺さっている異様な光景だった。

 

俺のパラソルは切り裂かれて、

顔があるべきはずだった場所に、垂直に突き刺さっていた。

あと、何故かカミソリが、頭と胴体の間にめり込んでいる。

正直怖かったし、怖い話のテンプレみたいだなと思った。

 

とりあえずゴミはまずいから、

自分の分のパラソルの残骸は持って帰ろうと思って、

思いっきり深く刺さってたそれを、軽い怒りと共に引き抜いた。

 

そしたらさ、遠くからなんか声が聞こえてきて、視線を向けると、

結構長い砂浜の向こうから、ものすごい勢いで走ってくる奴がいるのよ。

で、そいつがなんか叫んでるの。

 

(オキテル・オキテル・オキテル繰り返し)

砂浜を走る音>声

 

まだ残っていた人たちが、そいつからあとずさっているのはよく見えた。

もう俺もすぐに走って車に戻って、

よくわかんない顔してる友達を車に乗せてさっさと逃げた。

 

焦ってはいたが、距離はかなりあったので結構余裕ではあった。

ただ、笑いながら「オキテル」「オキテル」と走ってくる姿は

一生、忘れることができないだろう。

防犯カメラに映る女、投稿しました

新作動画、「防犯カメラに映る女」を投稿しました。

コンビニ夜勤バイトを襲う、恐ろしい女の怖い話です。

背景画像は、近所のコンビニを自分で撮影した画像です。

自作の背景もいいものですね。

 

内容は、かなりアレンジしました。

多分、全体の8割は付け足したり、直したり。

より、怖く、面白くなっていると思います。

ぜひ、観て、読んでみてください。

 

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「防犯カメラに映る女」

 

OP、

 

深夜のコンビニ、客はいない。

バックルームで、アルバイトの男性店員がスマホを見ていた。

スマホの画面では、女の子のキャラクターが笑っている。

 

「・・・」(すみませんを小さく)

 

店内から、女性の声がした。

「あれ、客かな」

防犯カメラの映像を見たが、店内には誰もいない。

 

「いらっしゃいませー」

バックルームの扉を開け、レジに出てみる。

やはり、店内には誰もいなかった。

 

「気のせいかな」

戻ろうと振り向く。

 

自分の背後にあったバックルームに続く扉に、

背丈が天井まであるほどの大きな女が、張り付いていた。

 

汚れた白のワンピース。

そして悪臭をはなつ、硬く絡まりあった黒髪が、目の前を覆っていた。

黒髪の下から、2本の足がのぞいている。

ドロのなかを歩いたのか、

真っ白なはずの細い足は、茶色く濁っている。

 

大きな翼を広げるように、左右に広げられた、真っ白の骨のような両手。

その先には真っ赤なマニキュアが塗られている。

白く濁った瞳は、俺のことを、しっかりと見つめていた。

 

「・・・、・・・」あなたのいのち、もらえませんか

 

タイトル



 

これは以前、コンビニで夜勤のアルバイトをしていたときの話。

仕事を初めてから3ヶ月くらい経過した、ある晩のことだった。

同じ夜勤の人間で、その日は深夜1時に上がる予定だった先輩が、

終業時間になっても帰らない。

 

「今日、明け方まで残ってもいいかな?」

 

バックルームでジュースの品出しをしていた、私に聞いてきた。

この店は、深夜1時までは二人制、

1時から翌朝6時までは、一人での勤務になる。

 

「別に構いませんけど、どうかしたんですか?」

 

その日は、特別な仕事も無く、残業をする理由など無いはずだ。

 

「仕事じゃないよ、タイムカードももう切ったしね。

ただ事務所に、居させてくれればいいんだ」

 

レジ内の扉の先にある、狭い事務所。

横長のスペースに、事務用のパソコン机、更衣室、

在庫品用の保管棚がところ狭しと並んでいる。

 

二人が、なんとか通り抜けられるような狭い部屋。

そんな場所に、あと3,4時間も居たいというのだ。

 

「先輩の家って、店のすぐ近くでしたよね?

鍵でも、失くしたんですか?」

 

私が尋ねると、先輩は苦笑いを浮かべてこう言った。

 

「ちょっと確かめたいことがあるんだ、笑わないでくれよ」

 

中央文字、ふちどり、

 

「お前、幽霊って信じるか?」

 

 

先輩の話によると、一人で夜勤をしている際、

事務所に居ると誰もいないはずの店内から

 

「すみません」低音じゃない

 

と、声をかけられることがあるという。

 

「はーい、お待たせ致しましたー」

レジ内の扉から店に出てみても、店には誰もいないんだそうだ。

 

来客を知らせるチャイムが、風や振動などで誤作動を起こす。

または、人が入ってきても鳴らない、ということは、たまにある。

 

「よくあるじゃないですか、調子悪いんですよ、あのセンサー」

 

私は先輩をなだめた。

勿論、先輩もそれくらい知っているはずだ。

 

「いや、違うんだよ、あれは」

 

先輩がそう言いかけたとき、店内のチャイムが鳴った。

「・・・」

先輩は、明らかに怯えている。

私は、確認しに、店内に出てみた。

 

店内に、人はいた。

いつもこの時間に来る女性の常連客。

一通り店内を見まわしたあと、軽い食料品を買って帰っていった。

 

そして、また店内に人がいなくなったのを確認してから、

バックルームに戻る。

先輩は、防犯カメラのモニターを凝視していた。

その様子は、普段の気さくな先輩とは少し違っていた。

 

「大丈夫ですよ。あのひと、いつもこの時間に来るんです。水商売なのかな」

 

「いや、違うんだよ」

 

先輩が言う。

 

「ここで夜、仕事をしていると、たまに店内から声がするんだよ。

そして、店内に行っても誰もいない。

そんなことが、何度かあったから、気持ち悪いなと思っていたんだ。

 

今度、声がしたら店に出ないで店内を映している

防犯カメラの映像を見てやろうと思ってさ。

それ、やってみたんだよ。

そしたら、映ってた。

 

レジを映している映像のぎりぎりの端に、バックルームの扉が映るでしょ。

あの扉の前にいた。

バカでかい足と、膝下まである髪の毛だけが見えた」

 

先輩は、少し興奮している。

私は、正直先輩の言うことが信じられなかった。

「またまた、冗談やめてくださいよ」

たまに冗談を言う先輩だったが、このときの顔は真剣だった。

 

結局、この日は何もなかった。

先輩は、口数少なく仕事を手伝ってくれて、

仕事はいつもより早く終わり、ほとんどの時間をバックルームで雑談をしてすごした。

楽で楽しい時間だったが、先輩の顔はどこか上の空だったのが気になった。

 

朝方、いつもくる新聞屋さんと入れ替わりで、先輩は帰っていった。

SNSで色々な人と交流があるって言っていたし、

プライベートで何かあったのだろうか。

 

それから数日たったある雨の日。

今日もコンビニの仕事に行くためにバスに乗っていた。

あまり客のいない夜のバス、私はあの日のことを考えていた。

 

先輩の言っていた、防犯カメラに映る幽霊の話。

あれは、本当なのだろうか。

それとも、先輩の冗談なのだろうか。

とても、冗談を言っている風には見えなかったが。

私には、分からない。

 

バイト先のコンビニについたら、

店長が不機嫌な顔をしていた。

どうやら、先輩が辞めるらしい。

気になって、店長に詳しい話を聞いてみた。

 

先輩が私に、あの話をした次の日の晩、

バイトを辞めさせてほしいと言い出したのだという。

 

「なんなんだろうねぇ、悪い事をしてたわけじゃないとは思うんだけど」

 

不思議がる店長だったが、私にはなんとなく理由が分かった。

幽霊の出るコンビニでの夜勤が耐えられなかったのだろう。

もちろん、それが本当なら自分でも耐えられない。

 

その夜は、何事もなく仕事が進んだ。

深夜1時になり、同僚が帰ると、職場には私ひとりになってしまった。

ここからは、あまり客もこなくレジ対応が少なくなるため、品出しがメインとなる。

バカバカしい話だと思いつつも、どこか薄気味悪く感じていた。

 

「すみません」

 

ふいに、声がする。

「はい、いらっしゃいませ」

反射的に返事を返すと、バックルームから店内に出た。

誰もいなかった。

 

空耳かな、と思いつつも、

あの先輩の話が蘇る。

正直、不安だった。

たしかに、声はした。

しかし、店内に姿は見えない。

防犯カメラの映像を見ても、誰も映っていない。

 

忘れよう。

そう思って、無心になって商品の品出しをした。

幸い、今日はジュースなどの飲み物の補充がメインなので、

店内には出なくても済む。

バックルームにうず高く積まれたダンボールを崩しながら、

飲み物の陳列棚の後ろから商品を補充していった。

 

2時間ほど経っただろうか。

時刻は、深夜3時すぎあたりだった。

ようやく、気持ちが落ち着いてきた頃に、また

 

「すみません」

 

声がした。

自分のすぐ後ろ、店内へと続く扉の向こうから声が聞こえた。



急いでモニタを見る。

誰もいない。

なんだよ、と思い、しばらくモニタの映像を見続けていた。

ふと、思い出した。

先輩は、バックルームの扉のことを言っていた。

視線をずらす。



モニターに映った、レジの内側。

防犯カメラの、死角ギリギリに映る、事務所への扉の下半分。

そこに、黒く長い髪と、女の足が映っていた。

 

今、自分がいるすぐ近く。

あのドアの向こうに、女がいる。

 

それも、立っているのではない。

カメラに映った部分から、その女の状態を考えると、壁にしがみついているのだ。

 

壁に張り付いているような、女の足。

そして、膝から上を覆い隠している、長い髪。

モニターには、そこしか映っていない。

 

私は、振り返れなかった。

自分のすぐ後ろにある扉の、

ちょうど私の胸元から頭頂部くらいまでの位置にある、

一辺50センチメートルほどの正方形の窓。

その窓いっぱいに、あの女の見開いた目が、

見えてしまうような気がした。

 

☆フェードイン・アウト

 

どれくらい、女の映っていた映像を見ていただろうか。

我を取り戻すと、すでにモニターの中には誰も映ってなかった。

 

時計を見ると、午前5時を回っている。

外が白み始めていて、小鳥の鳴き声が聞こえる。

毎朝お世話になっている新聞配達のおじさんの声を聞いたときに、

ようやく、元の世界に帰ってきたと実感できた。

 

安心したのもつかの間、数時間もすれば、

朝のラッシュが始まってしまう。

まだ少し残っていた品出しを手早く済ませ、朝の作業に取り掛かった。

 

その日の仕事終わりに、店長に防犯カメラの映像の確認の仕方を聞いた。

どうやら、先輩も辞める間際、同じことを聞いていたという。

あの幽霊のことが、気になっていたんだろうなと思った。

 

ひとり、バックルームで問題の映像を見てみる。

まずは、先輩の映像を確認する。

 

それは、先輩が残っていった日より前。

先輩が、一人で夜勤をしていた晩だった。

誰も居ない店内からの声に応えて、店に出る先輩が映った映像。

やはりソレも、映っていた。

 

カメラの死角ギリギリの事務所への扉、

その壁にしがみついているかのような女の足と髪。

 

そして扉が開き先輩が出てくる。

その女を通過して。

きっと先輩も、これを観たのだろう。

 

それから、自分の映像も確認しようとして、止めた。

きっと同じ映像が映し出されているだろうし、

何より、もうあの女を見たくない。

 

1ヶ月後、俺はバイトを辞めた。

店長は渋っていたが、知ったことではなかった。

後日、バイトの後輩にLINEて確認したが、

店内におかしなところは無いそうだ。

あの女は一体、何だったのだろう。

 

今は、とあるバーで働いている。

コンビニ時代より忙しいが、毎日が充実している。

 

店内のテレビが、ニュースを流していた。

見覚えのある顔が映し出されている。

先輩だった。

先輩が、9人の自殺を手助けして、

殺人罪で起訴されたとのことだった。

 

あの後、女の幽霊は出なくなった。

もしかしたら、先輩のあとについていったのではないだろうか。

先輩が警察官に囲まれ、手元を隠しながら、

パトカーに乗り込む映像の背後に、

ゲラゲラ笑う、あの女の姿が見えた気がした。

 

終わり。

「監視カメラに映る女」予告編AとB

次の動画、「監視カメラに映る女」の予告編AとBをアップしました。

予告編Aは、だいたいこんな話、という紹介動画。

予告編Bは、本編の序盤シーンを1分にまとめたものです。

ぜひ、見てみてください。

 

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予告編A通常サイズ

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